救出されたライオン、トラ、クマの「あり得ない絆」の始まり
物語は2001年、アメリカ・アトランタで起きた麻薬取締の現場から始まります。
警察が踏み込んだ住宅の地下室で見つかったのは、3頭の幼い野生動物でした。
アフリカライオン、ベンガルトラ、そしてアメリカグマ。自然界であれば、出会うこと自体が異例で、遭遇すれば命の危険すらある組み合わせです。
彼らの状態は悲惨でした。
トラのシア・カーンは栄養失調で骨ばり、寄生虫にも侵されていました。
ライオンのレオは、成長に合わない狭い檻に閉じ込められ、鼻には金網に押し付け続けたことでできた感染傷がありました。
クマのバルーはさらに深刻で、幼い頃に装着されたハーネスが外されないまま成長し、体に食い込んでしまい、外科手術が必要な状態だったのです。
彼らは動物を売る犯人たちにとって、ただの「在庫品」でした。
そして救出後、3頭はジョージア州のノアズ・アーク・アニマル・サンクチュアリに引き取られました。
通常であれば、種ごとに分けて飼育するのが動物福祉と安全管理の基本です。
ライオンもトラもクマも、いずれも大型の捕食動物であり、同じ場所に入れてしまうとケガや命の危険につながるおそれがあります。
そこでスタッフは、当然の判断として3頭を別々のスペースに分けようとしました。
ところが、このとき予想外の事態が起こります。
3頭はそれぞれ食事を拒み、不安定になり、落ち着きを失って互いを呼ぶような鳴き声を上げ始めたのです。
地下室で共に過ごした時間の中で、すでに強い心理的な結びつきができてしまっていたと考えられます。
専門家たちは悩みました。
ライオン、トラ、クマを一緒に飼うなど、動物園学の教科書には載っていません。
安全面からいえば、分けて飼育するほうが“正しい”ように思えます。
それでも最終的に、施設は「例外的に同居を続ける」という決断を下します。
3頭の生きる意欲そのものが、3頭が一緒にいることに強く結びついていると判断されたからです。
(次項では実際の様子が記録された動画のリンクもあります)
























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