ナルシストはスピーチでやや有利だが、文章では不利
誇大型ナルシシズム(Grandiose Narcissism)とは、強い自己中心性や支配性、過剰な自信、賞賛されたい気持ちなどを特徴とする人格特性です。
こうした人は、自分には人を動かす力があると信じやすく、実際に初対面で良い印象を与えたり、リーダーの立場に就いたりすることもあります。
ここから自然に浮かぶのが「彼らは本当に説得が上手いのか」という疑問です。
研究者たちが注目したのは、説得が起きる場面の違いでした。
人の話を聞くとき、私たちは内容だけでなく、話し手の自信、声の勢い、堂々とした雰囲気にも影響を受けがちです。
一方、文章を読むときは、声も表情も消え、主張の筋道や理由のつながりがよりはっきりと見えてきます。
もしナルシシストの強みが「堂々と見せる力」に支えられているなら、話す場面では有利でも、文章ではその武器が働きにくいかもしれません。
研究チームはこの可能性を確かめようとしました。
実験は全部で4つ行われました。
最初の研究では、大学生が「大学生活をどう改善すべきか」というテーマで説得スピーチを行いました。
事前に誇大型ナルシシズムの尺度に回答し、話し終えた後には「自分のスピーチはどれくらい説得的だったと思うか」も自己評価しました。
そして別の参加者がその動画を見て、説得力を評価します。さらに、話した時間の長さも記録されました。
続く後半3つの研究では、オンライン参加者が短い説得エッセイを書きました。
テーマは個人と集団の関係などで、実験によっては主張の立場があらかじめ割り当てられたり、賞金をかけた競争条件が加えられたりもしました。
書き手は自分の文章の説得力を評価し、別の参加者が実際に読んで説得力を判断しました。
執筆に費やした時間や文章量も記録されています。
これらの結果、ナルシシストは話す場合も書く場合も「自分は説得的だ」と強く信じていました。
しかし評価者の判断は、話す場合と書く場合で異なりました。
ナルシストはスピーチではやや有利だったものの、文章では不利だったのです。
詳しい内容を次項で見ていきます。



























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