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Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
medical

超音波で「新型コロナウイルス」と「インフルエンザウイルス」の破壊に成功

2026.05.12 12:00:47 Tuesday

超音波と聞くと、多くの人は病院の検査で使われる「体の中を見るための音」を思い浮かべるかもしれません。

しかし、その音の振動がウイルスそのものを物理的に壊す武器になる可能性が示されました。

ブラジル・サンパウロ大学(USP)の研究チームは、高周波の超音波によって、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)とA型インフルエンザウイルス(H1N1)の構造を破壊し、感染能力を大きく低下させられることを実験室で確認しました。

研究の詳細は2026年2月13日付で学術誌『Scientific Reports』に掲載されています。

Scientists Destroy COVID And Flu Viruses in The Lab With Sound Waves https://www.sciencealert.com/scientists-destroy-covid-and-flu-viruses-in-the-lab-with-sound-waves Scientists use ultrasound to destroy influenza A and COVID-19 viruses without damaging human cells https://agencia.fapesp.br/scientists-use-ultrasound-to-destroy-influenza-a-and-covid-19-viruses-without-damaging-human-cells/57968
Ultrasound effectively destabilizes and disrupts the structural integrity of enveloped respiratory viruses https://doi.org/10.1038/s41598-026-37584-x

超音波でウイルスの「外膜」を破裂させる

新型コロナウイルスインフルエンザウイルスは、「エンベロープ」と呼ばれる脂質の膜に包まれたウイルスです。

この膜は、ウイルスが細胞に侵入するために重要な構造であり、いわばウイルスにとっての防護服のようなものです。

今回、研究チームが注目したのは、この防護服を薬ではなく、音の振動で壊せないかという発想でした。

実験では、病院などで使われる超音波装置に近い仕組みを用い、3〜20メガヘルツの高周波超音波をウイルスに照射。

すると、SARS-CoV-2とH1N1のどちらでも、ウイルス粒子の形が崩れ、エンベロープが破れ、構造のまとまりが失われる様子が確認されました。

研究者は、この現象を「叫び声でウイルスと戦うようなもの」と表現しています。

音波のエネルギーがウイルス粒子に形の変化を起こし、最終的にはポップコーンのように破裂させるというのです。

この仕組みの鍵になるのが「音響共鳴」です。

物体には、それぞれ揺れやすい固有の振動があります。

ブランコを押すとき、ちょうどよいタイミングで力を加えると、少しの力でも大きく揺れるようになります。

それと似たように、超音波の周波数がウイルス粒子の構造に合うと、振動が内部で増幅され、エンベロープに機械的な負荷が蓄積します。

その結果、ウイルスの膜が変形し、最終的に破れると考えられています。

興味深いのは、この現象がウイルスの遺伝子そのものではなく、粒子の形や構造に関係している点です。

多くのエンベロープウイルスは球形に近い形をしており、この形が超音波エネルギーを吸収しやすいと考えられています。

チームは、もしウイルス粒子が三角形や四角形であれば、同じような「ポップコーン効果」は起こらないだろうと説明しています。

つまり今回の方法は、ウイルスの弱点を「遺伝子」ではなく「形」に見出した研究だと言えます。

次ページ感染能力が低下、ただし治療法としてはまだ初期段階

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