10年以上追われた「幽霊ゾウ」とは?
今回の研究の発端となったのは、保全生物学者スティーブ・ボイス氏による長年の探索でした。
舞台となったのは、アンゴラ東部の高地湿地「Lisima Ly Mwono(リシマ・リ・ムウォノ)」です。
この地域は極めてアクセスが困難で、調査隊は川を渡るためにバイクを担いで移動しなければならないほどの秘境でした。
その場所には以前から、「巨大な夜行性ゾウがいる」という話が伝わっていましたが、研究者たちは長年その姿を直接確認できませんでした。
地元住民だけが知る“夜の巨人”。
それが「ghost elephants(幽霊ゾウ)」と呼ばれる理由でした。
それでも2024年、ついにモーションセンサー式カメラがその姿を撮影することに成功します。(画像はこちら)
しかし、謎は「本当にいたのか」だけでは終わりませんでした。
次に浮かんだのは、「このゾウたちは、いったいどこから来たのか?」という問いです。
その答えを探るため、ボイス氏はスタンフォード大学のドミトリ・ペトロフ教授らに協力を依頼しました。
ただし、調査には大きな壁がありました。
研究者が野外で直接観察すること自体が、非常に難しかったのです。
捕獲して血液や組織を採取する方法は現実的ではなく、保護の観点からも望ましくありませんでした。
彼らはゾウの糞の“外側”に注目しました。
糞の表面には、腸壁から剥がれ落ちた細胞を含む粘液層が付着しています。
この部分には、ゾウ自身のDNAが比較的多く含まれているのです。
研究チームは回収した糞サンプルを「bead basher」と呼ばれる装置に入れました。
これは、サンプル中の細胞を壊してDNAを取り出しやすくする装置です。
その後、抽出されたDNAはシーケンサーによってゲノム全体の解析に成功。
この解析結果は、研究者たちの予想を大きく裏切ることになりました。



























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