「昼間にしんどい人」が夜の動画沼にハマる――原因は夜だけではなかった
「昼間にしんどい人」が夜の動画沼にハマる――原因は夜だけではなかった / Credit:Canva
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「昼間にしんどい人」が夜の動画沼にハマる――原因は夜だけではなかった

2026.05.19 20:30:57 Tuesday

夜中までショート動画を指でめくり続けて、翌日は頭がぼんやり。

この悪循環の犯人は「動画」だと、私たちはずっと信じてきました。

動画を見すぎるから、眠れなくなる。話の筋として、いかにも自然です。

ところが中国の華南師範大学(SCNU)などの研究チームが、大学生6691人を3か月の間隔をあけて2回調査したところ、二つの方向のうち優勢だったのは、むしろ逆向き――「眠れない人ほど、そのあとショート動画にのめり込みやすい」側でした。

しかも、その関係をつないでいた結び目は、夜の不眠だけでなく、とくに「翌日の昼のしんどさ」のほうにありました。

研究内容の詳細は『Personality and Individual Differences』にて掲載されています。

Exploring longitudinal relationships between problematic short-form video use and insomnia symptoms: A cross-lagged panel network analysis https://doi.org/10.1016/j.paid.2025.113625

その悪循環、向きが逆かもしれない

その悪循環、向きが逆かもしれない
その悪循環、向きが逆かもしれない / Credit:Canva

ショート動画は、数秒から数分の映像を次々に流していく形式です。

「長編の動画」よりも気軽に楽しめることから、近年になってその需要は急上昇しています。

たとえば中国の場合、ショート動画の視聴者は約10億4000万人、ネット利用者の93.8%にのぼることが示されています。

ネット利用者の中では、ほぼ全員と言っていい数字です。

ショート動画がやめにくい理由は大きく2つあるとされています。

ひとつは、おすすめを送り込んでくる仕組み(アルゴリズム)。

あなたの好みを学習して、刺さりそうな映像を、考える隙も与えずに次々と差し出してきます。

お皿が空になる前に次のお皿が出てくる店で、満腹に気づける人はそういません。だいたい、無理です。

もうひとつは、時間の感覚がゆがむこと。

人は何かに深く入り込むと、時間の経過を実際より短く感じます。

「まだ10分くらいかな」と思っていたら、気づけば1時間。

この錯覚が、就寝時刻をじりじりと後ろへ押していきます。

ここまでは、世間が思っている通りの「動画→不眠」の話です。

実際、この方向の証拠は、これまでにもたくさん報告されてきました。

ただし、ショート動画に絞ると、その多くが一回きりの調査でした。

ある時点で「動画をよく見る人は、よく眠れていない」と分かっても、不眠が原因で動画に流れる可能性もあったのです。

それは卵が先かニワトリが先か、まだ判定できていないのと同じです。

さらに従来は「視聴時間の合計」「不眠スコアの合計」といった、大づかみな一個の数字で扱われがちでした。

研究チームが踏み込もうとしたのは、まさにこの”判定できていない部分”だったのです。

次ページ動画を見るから眠れないのではなく、眠れなかったから動画を見る

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