イモムシの「唾液」を検知する植物のセンサー
今回の研究対象となったのは、インゲンマメの一種(Phaseolus vulgaris)です。
この植物は、キドニービーンズやブラックビーンズ、ピントビーンズなど、私たちの食卓にも関わりの深い豆の仲間です。
植物は動物のように敵から逃げることができません。
そのため葉を食べられたときには、傷を修復したり、苦味や毒性のある物質を作ったり、さまざまな防御反応を起こします。
ただし、すべての傷に同じように反応するわけではありません。
風で葉が破れたのか、虫に齧られたのかを区別できなければ、必要な防御を効率よく発動できないからです。
そこで重要になるのが、イモムシの口腔分泌物に含まれる「インセプチン」というペプチドです。
イモムシが葉を齧ると、その口から出た成分が植物の傷口に触れます。
インゲンマメの葉の細胞表面には、このインセプチンを検知する「インセプチン受容体」があります。
受容体とは、外から来た特定の分子を受け取り、細胞の中へ情報を伝えるタンパク質です。
つまりインゲンマメは、単に「葉が傷ついた」と感じているのではなく、「これはイモムシによる食害だ」と判断するための化学的な手がかりを持っているのです。
研究チームは、インセプチン受容体が正常に働くインゲンマメと、この受容体が機能しない変異型のインゲンマメを比較しました。
葉にイモムシの口腔分泌物をつけたり、インセプチンの一種(In11)を処理したりして、植物の反応を調べたのです。
その結果、インセプチン受容体が正常な植物では、防御に関わる免疫反応が強く活性化しました。
反対に、受容体を欠く植物では、その反応が大きく弱まっていました。
では、この受容体はハチの誘引にも本当に関わっているのでしょうか。




















































