シベリアの墓地に眠る「5500年前」の狩猟採集民18人からペスト菌の痕跡が見つかる
歴史上もっとも有名なのは、14世紀のヨーロッパで猛威をふるった「黒死病」です。
黒死病という名は、症状が進行すると敗血症を引き起こし、皮下出血によって皮膚や手足が黒く変色・壊死することから来ています。
そして当時の黒死病では、ネズミなどのげっ歯類に寄生するノミがペスト菌を運び、人に感染を広げたと考えられています。
そのためペストは、人口が密集した都市、家畜やネズミとの近い生活、定住化や農耕の拡大と結びつけて語られてきました。
一方で、近年の古代DNA研究により、ペスト菌そのものは5000年以上前のユーラシアにも存在していたことが分かっていました。
ただし、初期のペスト菌は、後の腺ペストの成立に重要な遺伝子を一部欠いていました。
そのため「古代のペスト菌は本当に人を死なせるほど危険だったのか」「単に感染していただけではないのか」という議論が続いていたのです。
そこで研究チームは、シベリア南東部のバイカル湖周辺、アンガラ川沿いにある4つの墓地に注目。
彼らは、後期新石器時代の狩猟採集民46人の古代DNAを解析し、骨や歯に残された病原体の痕跡を調べました。
その結果、18人からペスト菌のDNAが検出されました。
解析した個体のうち、ペスト菌DNAが検出された割合は全体で39%に達し、調べられた病原体の中でもペスト菌は際立って多く見つかっています。
さらに研究チームは、放射性炭素年代測定、細菌ゲノムの比較、埋葬のされ方、死者同士の親族関係を組み合わせ、ペストが少なくとも2回の流行を起こしていた可能性を示しました。
第1波は約5520〜5265年前、第2波は約5315〜4235年前に位置づけられています。
ただし第2波の年代幅は広く、論文では最も可能性が高い範囲をおよそ5050〜4850年前としています。
では、それらの流行はどのように人々を襲ったのでしょうか。




























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