熱すると気化し、冷やすと固まる新型プラスチックを開発
熱すると気化し、冷やすと固まる新型プラスチックを開発 / Credit:Canva
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熱すると気化し、冷やすと固まる新型プラスチックを開発

2026.08.24 19:30:12 Monday

英国のサリー大学(University of Surrey)で行われた研究によって、加熱すると気体になって消え、冷えると自然に元の固体へと戻る、まったく新しいプラスチックが開発されました。

固体が液体を経ずにそのまま気体になる現象は「昇華」と呼ばれ、ドライアイスなどでおなじみです。

しかし、プラスチックがこの往復を繰り返し、しかも冷えるだけで勝手に元の姿へと組み上がる例は、これが初めてとなります。

研究者たちは「ほとんどのプラスチックは安定であるように設計されているため、リサイクルや除去が困難です。私たちはそれとはまったく異なる挙動を示す材料を作り出せることを示しました」と述べています。

安定していることが取り柄のはずのプラスチックが、なぜドライアイスのように消えたり現れたりできるのでしょうか。

論文は2026年8月11日付で『Macromolecules』にて発表されました。

Novel plastic turns into a gas when heated—then reforms once cooled https://phys.org/news/2026-08-plastic-gas-reforms-cooled.html
Lipoic Acid Without the Side Chain: Sublimable Homopolymers and Degradable Copolymers Based on 1,2-Dithiolane https://doi.org/10.1021/acs.macromol.6c01500

プラスチックは「壊れないこと」が長所であり、最大の欠点でもある

プラスチックは「壊れないこと」が長所であり、最大の欠点でもある
プラスチックは「壊れないこと」が長所であり、最大の欠点でもある / Credit: Kazmi et al., Macromolecules, 2026

レジ袋、食品の包装、シャンプーのボトル。

私たちの身の回りにあふれるプラスチックは、とにかく丈夫で、水にも薬品にも強く、放っておいても壊れません。

ところが、この頼もしさこそが、環境中に流出したプラスチックを何十年も分解されないまま残し続ける原因にもなっています。

使っているあいだの長所が、捨てる段階になったとたん、そっくりそのまま最大の欠点に裏返ってしまうのです。

もちろん、リサイクルしやすいプラスチックを作ろうという研究は世界中で進められています。

なかでも有望とされるのが、プラスチックをいったん構成部品であるモノマー(単量体)にまでバラバラに分解し、その部品から再び組み立て直すという方法です。

部品まで戻せば新品同様の品質で作り直せるため、理想的なリサイクルと言われています。

ところが現実には、部品に分解するだけでも150〜200℃という高温が必要になる場合が多く、しかも回収した部品をプラスチックに戻すには、さらに別の化学処理が待ち構えています。

理想とは裏腹に、手間とエネルギーを大量に食う道のりなのです。

そこでサリー大学の研究チームが目をつけたのが、硫黄原子2つを含む小さなリング状の分子(1,2-ジチオラン)でした。

硫黄同士の結合には「切れやすく、つながり直しやすい」という、炭素の鎖でできた普通のプラスチックにはない身軽さがあります。

この身軽さをうまく使えば、行きも帰りも簡単な——組み立ても分解もラクな素材が作れるのではないか。

チームはそう考え、このリング状分子だけをつなげたプラスチックの合成に挑みました。

その結果は、チーム自身の予想さえ裏切るものでした。

次ページ90℃で気化し、冷えると固体化する――世界初の「昇華するプラスチック」

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