笑いが力になるかどうかは、うつ病の「時期」しだいだった

うつ病は、世界で2億8,000万人を超える人がかかっている心の病気です。
強い落ちこみが続き、ふだんの生活もままならなくなります。
薬やカウンセリングの治療は進んできましたが、長い目で見て回復しきる人の割合はまだ限られています。
そこで一部の専門家が目を向けてきたのが「笑い」です。
同じ悩みをぐるぐる考え続けてしまうことや、楽しい気持ちがわきにくくなることに、笑いで立ち向かえないかと考えたのです。
喜劇俳優のロビン・ウィリアムズも「落ちこむたびに、コメディがそこから引っぱり出してくれる」と語っていました。
では、笑いは本当にうつ病の助けになるのでしょうか?
ブラニエツカ博士が行ったのは、新しい実験ではありません。
医学や心理学の論文データベースで「笑いの使い方」と「うつ病」を含む論文を探し、大人を対象にした英語の研究を、2026年5月までの分から集めて読み解いたのです。
博士の分析から見えてきたのは、笑いが役に立つかどうかは、何よりもうつ病の「時期」しだいだということです。
症状が軽い人や、寛解(症状がおさまって落ち着いた状態)にある人では、笑いが心の立ち直る力を育て、うつ病の再発を防ぐ助けにもなりうるといいます。
一方で、急性期(症状がいちばん重くつらい時期)の人には、笑いを使った支援はうまく働かず、かえって心を苦しめるおそれもあるそうです。
博士は「笑いを使った支援は、病気の急性期には効果がありません」と話しています。
ただし、これは過去の研究をまとめた論文で、博士自身も、今ある研究の多くが症状の軽い人を対象にしている点を弱みとして挙げています。
つまり、重い時期に笑いがどう働くかについての証拠は、まだとても少ないのです。
では、なぜいちばんつらい時期には、笑いが届かないどころか裏目に出ることがあるのでしょうか?


























