赤ちゃんの頭の匂いは男性による虐待を防ぎ女性に戦う勇気を与える
なぜヘキサデカナール(HEX)は男女で真逆の反応を引き起こすのか?
研究者たちはその原因を、虐待防止と防衛闘争だと考えました。
うまれてきた赤ちゃんにとって第一の脅威は、血のつながらない男性だからです。
男性にとって自分の遺伝子を運んでいない赤ちゃんは、虐待や殺害の対象となります。
血のつながらない子供の殺害は人間に最も近いチンパンジーなどではよく見られる事件です。
オスは他人の子供を殺すことでメスに自分の子供を妊娠させることが可能となるからです。
人間は理性の生き物であり、そのような野蛮な子殺しとは無縁と思いたいところですが、赤ちゃんが防衛策を必要とするほどには、人間社会も男性による子殺しが蔓延していたようです。
赤ちゃんを殺そうと抱き上げると、赤ちゃんの頭がちょうど鼻の下にきてヘキサデカナール(HEX)が効果的に男性の鼻に吸い込まれることになり、攻撃性を低下させ「思いとどまらせる」ことが可能になります。
一方、ヘキサデカナール(HEX)によって女性の攻撃性が上がる理由は、男性を含む敵との闘いのためだと考えられます。
赤ちゃんの頭の匂いは女性の報酬系を刺激することが知られていますが、同時にヘキサデカナール(HEX)によって攻撃性が高められることで、大切な存在を戦って守ることが可能になります。
子育て中の動物のメスが攻撃的になることが知られていますが、人間の場合、赤ちゃんの誘導によって女性の攻撃性が高まるようです。