赤ちゃんの頭の匂いは男性を落ち着かせ、女性を勇敢にすると判明!
私たち陸上に生きる哺乳類にとって、空気中に漂う匂いは、精神と行動に大きな影響を与えます。
例えばウサギの母親は、見知らぬメスの匂いがついた子ウサギを攻撃して殺してしまいます。
またマウスの涙に含まれるペプチドを塗られた子マウスは、オスによる虐待や子殺しを回避しやすいことが知られています。
また人間においても涙の効果が認められており、人間の涙が発する匂いには、男性のテストステロンを減少させる効果が報告されています。
しかし人間の攻撃性の基盤となっている神経回路は十分に解明されていません。
そこで今回、ワイツマン研究所(WIS)の研究者たちは、人間の攻撃性を変化させられる「匂い」の存在と、脳に与える影響について調べることにしました。
候補となった匂い成分は、人間の赤ちゃんの頭から大量に放出されるヘキサデカナール(HEX)と呼ばれる無臭の化合物です。
調査にあたっては、126人の被験者たちに「怒りをかきたてるゲーム」を、半分はヘキサデカナール(HEX)を漂わせた部屋で、もう半分はただのオイルを漂わせた部屋で行ってもらいました。
ゲームは昨今ブームの仮想通貨がペアとなった2人に対して提示され、取り分の合意ができたときのみ、2人に報酬が渡されるという形式をとります。
被験者たちは研究者から、相手もまた人間であると伝えましたが……実はコンピューターでした。
さらに被験者たちにとって不愉快なことに、相手は非常に強欲に設定されており、90%以上の取り分を常に要求してきました(被験者の取り分は10%以下)。
当然ながら被験者たちの怒りはかきたてられていきます。
次に研究者たちは被験者たちに「復讐」の機会を与えました。
研究者たちは被験者たちに、手元のボタンを操作することで、強欲な相手の耳に大音量のブザーをお見舞いできると告げます。
ただブザーの音量は「少々うるさい」から「爆音」まで選ぶことができました。
すると、非常に面白い結果がみえてきました。
ヘキサデカナール(HEX)は男女の攻撃性に真逆の影響を与えていたのです。