ヘッドホンの仕組みと限界
次に、ヘッドホンの仕組みについても考えてみましょう。
耳に被さる大きなヘッドホンでも、耳の中に入れる小さなイヤホンでも、その他のアイテムだったとしても、結局は「小さなスピーカー」だと言えます。
そしてスピーカーは耳とは逆の働きをします。
耳が空気の振動を電気信号として脳に伝える変換器であるのに対して、スピーカーは音楽データの電気信号を空気の振動に変換しています。
ではスピーカーはどのようにして、電気信号を空気の振動へと変換しているのでしょうか?
ほとんどのスピーカーは、次の4つの部品で構成されています。
- 前後に動く磁石、
- 磁石周りのワイヤーコイル
- 振動板を支えるサスペンション(緩衝装置)
- 空気を押し出す振動板「ダイヤフラム」
つまり簡単にいえば、電磁石が磁石を揺らしそれが振動板を動かすことで、電気信号は空気の振動に変換されるわけです。
このプロセスを考えると、電気信号をそのまま音に変換するのが「スピーカーの理想」だと言えます。
しかし、伝言ゲームの正確性に限界があるように、現実の物理世界にも限界があります。
磁石や振動板の大きさや材質の違いにより、スピーカーの入力と出力が完全に一致することなどありえないのです。
そのため、いくらか歪みが生じたり、一部の周波数が元の音よりも大きくなったり小さくなったりします。