「いいヘッドホン」は組み合わせによって決まる
どれだけ高価な機材で収録された音楽データでも、その電気信号を完全に再現できるヘッドホンは存在しません。
逆にその信号を歪ませる要素は無限にあります。
そのためよく、高価なヘッドホンを評価する際「音の再現性が高い」と表現されるのを聞くことが多いと思います。
これは1つの重要なポイントです。
しかし、いくら再現性の高い高価なヘッドホンでも、機器によって信号の歪み方は異なっており、それにより音質も変わってきます。
ですからヘッドホンもある程度の値段に到達すると、あとは「どのような歪みや周波数を好むか」という個人的な問題になってきます。
これには年齢、経験、文化、好きな音楽ジャンルなどの要素が関係してくるでしょう。
例えば、ヒップホップが好きな人にとっては、低音が強調されるものが「いいヘッドホン」でしょう。
またクラシック音楽が好きな人は、できるだけ周波数の歪みが少ないものを「いいヘッドホン」だと感じるかもしれません。
さらに言うと、聴覚障がい者にとっては、音声をより理解しやすい1000~5000Hzの周波数が強調されたものが「いいヘッドホン」なのです。
さて、ここまでで「いいヘッドホンとは何か?」という疑問について考えてきました。
電気信号を音として完全に再現できるヘッドホンはありません。
また音である空気の振動を完全な仕方で変換して脳に届けられる人間はいません。
さらに、どの特徴を好むかは人や曲によって変わります。
ですからスー氏は、結論として次のように述べています。
「ヘッドホンの良し悪しを見極める確実な方法があります。
それは、自分にとって“いい曲”を見つけて、その曲の魅力を一番引き立てるヘッドホンを見つけることです」
つまり“いいヘッドホン”は、私たち個人と好きな曲を組み合わせたときに、初めて見つかるものなのです。
ほうほう…
好きな曲20曲くらいあるからヘッドホン20個買わなきゃ