体を傾けて離陸する鳥のような個人航空機
アフリカでは地上の交通インフラが完全に整っていません。
そのため遠隔地に医薬品やその他の様々な物資を届けることが大きな課題になっています。
Phractyl社はこうした問題に対処するため、大掛かりな滑走路やヘリポートを必要としない個人用航空機を開発することにしました。
それがトリのような足をもつ航空機「マクロバット」です。
マクロバットは股関節、膝関節、足首部分に強力なモーターが搭載されており、まるで生き物のように自在に「曲げる」ことができます。
これにより機体を地面から持ち上げたり、傾きを変えてバランスを取ったりできます。
そして離陸時には、尾翼が地面に当たらない限界まで(推測では45°近く)機体を傾けます。
さらに主翼も後傾させることができ、プロペラはさらに20°上向きに。
これによりプロペラはほぼ真上を向いた状態になり、ヘリコプターに近い離陸の仕方が可能になると言われています。
ただしPhractyl社によると、完全な垂直離陸は行えず、前方にもいくらか進むようです。
そのためマクロバットは「near VTOL(ほぼ垂直離着陸)機」だと表現されています。
また上空では、空気抵抗を最小限にするため足が折りたたまれ、通常の小型飛行機のように水平飛行するとのこと。
ちなみに着陸時は、離陸時と同じ体勢になると考えられており、もしかしたらパイロットは空に顔を向けたままカメラを使って着陸の瞬間を確認するのかもしれません。
Phractyl社によると、マクロバットには航続距離150km、最大積載量150kg、最高速度180km/hの性能があります。
パイロットによる操縦と遠隔操作の両方が可能であり、必要に応じて乗客や貨物を運べます。
とはいえ現在公開されている情報では、従来のVTOLと比べて「何が優れているのか」はっきりと分かりません。
トリのような足は斬新でインパクトがありますが、本当に採用すべき「実用性のあるアイデア」なのかも分からないのです。
現在Phractyl社は、プロトタイプの開発と資金調達に取り組んでいる最中です。
この奇妙な航空機が実現するのか、今の段階では分かりませんが、今後の進展と報告に期待したいところです。