大量絶滅周期と幻の連星「ネメシス」
地球では過去に5回の大量絶滅があったとわかっています。
しかし地質学的な調査では、これより小規模ながらも絶滅率が急上昇している期間が、過去2億5000万年の間に12回あったと報告されており、しかもそれは2700万年という周期を持っているというのです。
なぜ、地球では周期的に大量絶滅が起きるのでしょうか?
この問題を説明する1つの仮説として提案されているのが、太陽の連星「ネメシス」の存在です。
この太陽が持つ仮定の連星は、非常に暗く小さな褐色矮星で、まだ観測で発見されてはいませんが、太陽から9万5000天文単位(約1.5光年)の距離を周回していているとされています。
そして、この太陽から遠く離れた軌道には、惑星形成期に跳ね飛ばされた欠片が殻のように太陽系を包むオールトの雲と呼ばれる領域が存在しています。
ときたま見られる長周期彗星は、このオールトの雲からやってくるとされていて、巨大な小惑星や微惑星が大量にこの領域を漂っています。
ネメシスの軌道は、このオールトの雲を横切っており、それがだいたい2700万年周期になるとされています。
つまり、ネメシスがオールトの雲を通過することで、小惑星が太陽系内側へ吹き飛ばされ、地球では2700万年周期で小惑星衝突リスクが大幅に上昇しているというのです。
もちろん、地球の大量絶滅の原因は小惑星の衝突だけではないので、これは若干疑わしい仮説ではあります。
しかし、太陽が本当に連星を持っている可能性は高いかもしれません。
それを示す新しい証拠の1つが、カリフォルニア大学バークレー校(UC Berkeley)とスミソニアン天体物理観測所(SAO)の研究チームが発表した、新しい調査報告です。