塵の雲に囲まれた連星系HD 98800のイメージイラスト
塵の雲に囲まれた連星系HD 98800のイメージイラスト / Credit: NASA/JPL-Caltech/T. Pyle (SSC)
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周期的な大量絶滅の原因「太陽の双子ネメシス」の存在を示す新たな証拠

2021.12.19 Sunday

太陽系は実は2つの恒星を持つ連星系であるという仮説が存在しています。

そのもう1つの星は「ネメシス」と呼ばれていて、非常に暗く小さい褐色矮星で、太陽から9万5000天文単位という非常に離れた軌道を周回しているとされています。

この問題に関連しそうなある事実が、2017年に科学雑誌『王立天文学会月報(Monthly Notices of the Royal Astronomical Society)』に報告されています。

この研究によると、太陽のような星は、基本的に連星で誕生しているというのです。

「ネメシス」は地球の大量絶滅周期に関連するとされており、その名前は「神の怒り」を擬人化したギリシア神話の女神の名に由来します。

 

Our Sun May Have Been Born With a Trouble-Making Twin Called ‘Nemesis’ https://www.sciencealert.com/our-sun-could-have-been-born-with-a-twin-called-nemesis
Embedded binaries and their dense cores https://academic.oup.com/mnras/article/469/4/3881/3795556?login=true

大量絶滅周期と幻の連星「ネメシス」

地球では過去に5回の大量絶滅があったとわかっています。

しかし地質学的な調査では、これより小規模ながらも絶滅率が急上昇している期間が、過去2億5000万年の間に12回あったと報告されており、しかもそれは2700万年という周期を持っているというのです。

なぜ、地球では周期的に大量絶滅が起きるのでしょうか?

この問題を説明する1つの仮説として提案されているのが、太陽の連「ネメシス」の存在です。

この太陽が持つ仮定の連星は、非常に暗く小さな褐色矮星で、まだ観測で発見されてはいませんが、太陽から9万5000天文単位(約1.5光年)の距離を周回していているとされています。

そして、この太陽から遠く離れた軌道には、惑星形成期に跳ね飛ばされた欠片が殻のように太陽系を包むオールトの雲と呼ばれる領域が存在しています。

ときたま見られる長周期彗星は、このオールトの雲からやってくるとされていて、巨大な小惑星や微惑星が大量にこの領域を漂っています。

オールトの雲の想像図。数字はすべて天文単位。
オールトの雲の想像図。数字はすべて天文単位。 / Credit:国立天文台/丸善出版/理科年表オフィシャルサイト

ネメシスの軌道は、このオールトの雲を横切っており、それがだいたい2700万年周期になるとされています。

つまり、ネメシスがオールトの雲を通過することで、小惑星が太陽系内側へ吹き飛ばされ、地球では2700万年周期で小惑星衝突リスクが大幅に上昇しているというのです。

もちろん、地球の大量絶滅の原因は小惑星の衝突だけではないので、これは若干疑わしい仮説ではあります。

しかし、太陽が本当に連星を持っている可能性は高いかもしれません。

それを示す新しい証拠の1つが、カリフォルニア大学バークレー校(UC Berkeley)とスミソニアン天体物理観測所(SAO)の研究チームが発表した、新しい調査報告です。

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