太陽は双子だったかもしれない
私たちから見て、太陽はたった1人で星系を作る孤立した星に見えます。
しかし、宇宙を広く観測すると、こうした孤立した星系というのは珍しい存在であることがわかります。
宇宙に存在する多くの星たちは、基本的には2つ以上の恒星が周り合う連星系、あるいは多重連星系なのです。
ではなぜ、宇宙には連星が多いのでしょうか?
この問題は、そもそも連星系がどうやって形成されているのか? という疑問に繋がっていて、天文学者たちの興味の対象の1つです。
現在考えられている連星の誕生方法は、主に2つであり、もともと双子で誕生したか、外部からやってきた流れ者の恒星が別の星にキャッチされて連星を成したというものです。
しかし、外からやってきた星をキャッチしている場合、宇宙では連星の方が多いという説明には不自然な感じがします。
そのため、天文学者たちは連星は一緒に誕生する双子星であるという考え方の方が気に入っています。
ここ数十年間で開発されている星形成のシミュレーションでも、ほとんどの星が、連星として生まれる可能性が高いことを示しています。
ただ、この結果を裏付ける経験的な証拠は限られていて、明確ではありません。
そこで今回の研究チームは、地球から焼く600光年離れたペルセウス座の塵の雲を電波観測しました。
ペルセウス座分子雲は、新しい星が盛んに誕生する高密度の塵が集まった星の苗床です。
ここから、誕生から50万年未満のクラス0天体と、50万年から100万年のクラスⅠ天体という若い星を調べました。
この調査では、孤立状態の星は45、連星は19、多重連星は5、見つかったといいます。
それぞれの距離や、塵の形状データをあわせて考えると、チームはほとんどの星が最初は連星として生まれていると結論づけています。
太陽も双子で生まれたと考える方が、一般的なのです。
星同士の距離を調べると、500天文単位以上離れたワイドバイナリーと呼ばれる離れた連星はすべてクラス0天体でした。
クラスⅠ天体はでは、星の距離は200天文単位前後に接近しています。
これが何を意味するのか、まだ明確なことは言えませんが、ランダムに星が散っていたわけではなく、距離の離れた連星系の形成について何かを示しているはずだと研究者はいいます。
500天文単位は、約3光日(光の速さで3日の距離)で、もっとも遠い太陽系惑星海王星までの距離は約30天文単位、探査機ボイジャー1号は現在約140天文単位の位置にいるといいます。
これを考えると500天文単位はかなり離れた距離です。
こうした離れた位置から始まった太陽の双子がいたとすれば、塵やガスの大部分は太陽が集めたと考えられ、双子の太陽は暗くて見えづらい存在のまま成長しなかった可能性が高いでしょう。
現在私たちにはなかなか見つけられない存在になっているかもしれません。
もし見つけづらい褐色矮星の連星「ネメシス」が太陽系にいるとすれば、それは小惑星(準惑星候補でもある)セドナの奇妙な軌道も説明でき、太陽系内の天体の特殊な動きがいろいろと説明可能になるといいます。
成長する糧のほとんどを太陽に奪われた小さなネメシスは、その腹いせにときおりオールトの雲から小惑星を太陽に向けて蹴り飛ばしているのでしょうか?
地球に災いをもたらす太陽の双子の兄弟は、今も遠い太陽系外園を回っているのかもしれません。