電子書籍リーダーの技術を利用したBMW
試作車BMW iX Flowは、一見通常のBMWですが、ボタン1つで瞬時に外装の色が変化するという新しい特徴を備えています。
カラーバリエーションは白と黒以外にいくつかのグレーパターンがあるようで、その日の気分で変更可能。
白の下地に黒いラインを加えるなど、自分好みのパターンを選択できるでしょう。
この車体カラーの変化に利用されているのは、「Kindle」などの電子書籍リーダーに利用されている「E Ink」と呼ばれる電子インク技術です。
このE Inkは、人間の髪の毛とほぼ同じ厚さの無数のマイクロカプセルで構成されています。
そしてマイクロカプセルの中には、マイナスとプラスにそれぞれ帯電した白色と黒色の粒子が収められています。
そのため周囲の電界を調整することで、マイクロカプセル内のインク粒子を偏らせることが可能です。
こうした原理を利用して、電子書籍リーダーは文字を表示していますが、今回は車体の広範囲な外装の色を一瞬で変更しているのです。
しかもE Inkに電力が必要なのは「色を変化させるときだけ」です。
バックライトも必要としないため、非常にわずかなエネルギーでこの機能は利用できるのです。
またBMW社によると、車体カラーを季節に応じて変化させることで、さらなる省エネが期待できるとのこと。
例えば、夏には車体を白色にしてより多くの太陽光を反射させ、冬には黒色にして太陽光を吸収させます。
これにより車内を快適にするための冷暖房エネルギーを削減できるのです。
This color changing @BMWUSA #iX is wild! It’s apparently very temperature sensitive so they have a backup in a trailer in case this one gets too hot / cold pic.twitter.com/lXG1Gw0IKY
— Out of Spec Studios (@Out_of_Spec) January 4, 2022
とはいえ、現段階ではいくつかの制限もあるようです。
例えばBMW iX Flowは温度変化に弱く、E Inkによる色の変化は気温0~50℃の間でのみ可能だと言われています。
さてBMW社によると、BMW iX Flowはまだ試作の段階であり、実際にいつ市販されるか決まっていません。
とはいえ将来的には内装にもE Inkが適用される可能性があり、開発は続くと考えられます。
BMWが好きな方は今後の進展に期待できるでしょう。