「幻のクイーン」は、鏡を上手に利用した錯視だった
「幻のクイーン」と「突然現れるオブジェクト」の両方に利用されているのは「立体を平面に見せる錯視技術」です。

例えば上の動画のように、立方体の模様を工夫することで特定の角度からは平面に見せることができます。
そして、この錯視を利用すれば、模様入りカバーの裏側にオブジェクトを隠すことができるのです。

前から見ると何もない平面に見えますが、タイミングよく錯視カバーを取り除くことで瞬時にオブジェクトが登場したように見えるのです。

ここまでくれば、「幻のクイーン」の仕組みも分かりますね。
重要な追加要素は、「鏡」です。

正面からはクイーンが錯視カバーで隠されて見えません。
ところが鏡には反射によってカバーの裏側が映ります。クイーンの存在は鏡でのみ視認できるのです。
また反射カバーの裏側にも錯視させるための模様が描かれており、鏡を通して見てもカバーが存在していないように見えます。

錯視技術自体はシンプルですが、他の道具と組み合わせることでこれまでにない錯視アートを生み出すことに成功したのです。
ちなみにカバーを少し手前に引っ張るだけで、種明かしは済みます。

種が分かればだれでも簡単に作れる錯視だと言えますね。
スマホで同じような動画を撮って、友達をびっくりさせるのも楽しいでしょう。
ちなみにイリュージョン・オブ・ザ・イヤー2021のファイナリストには他の錯視作品もノミネートされています。
次のページでは惜しくも最優秀賞を逃した2つの作品をご紹介しますね。