割れないシャボン玉は重力と蒸散の影響を克服していた
シャボン玉はその美しさと儚さで多くの人々を虜にしています。
瞬間的な泡を作るだけならば純水でも可能ですが、水は表面張力(1つに固まろうとする力)が強く、純粋な水の泡は瞬間的にしか維持できません。
そこで通常は、石鹸や洗剤に含まれるヌルヌル成分(界面活性剤)など追加の材料を混ぜます。
ヌルヌル成分(界面活性剤)には水によくなじむ部分(親水基)と水を嫌う部分(疎水基)があり、水に溶けると水の表面張力を適度に調節して液体の「伸び」を良くします。
そして十分な濃度がある場合、界面活性剤の分子の並びが物理的な安定(親水どうし疎水どうし)をもたらすため、ただの水の泡よりも長い間、持続して存在することも可能になります。
つまり、シャボン玉では水の表面張力をベースにしつつ、追加の成分が水の伸びや安定性を提供することでひと時の球状が維持されていたのです。
一方、シャボン玉が割れる最大の原因は重力、次いで水の蒸発があげられます。
シャボン玉が形成されてから時間が経過すると、重力によって液体が球体の下側に集まり始め、上側はどんどん薄くなっていき、最終的に穴があいてしまいます。
またシャボン玉を構成する水分が空気中に蒸発することも、層を薄くして穴があく原因となります。
そのため持続的な「泡」を維持するには、第1に重力に打ち勝つこと、そして第2に表面張力を提供する水を蒸発させないことが重要になってきます。
しかし、どちらも地球上で実現するのは困難と言えるでしょう。
研究者たちはどのような材料を用いて、重力と蒸散に打ち勝ったのでしょうか?