なぜ紙で指を切ると痛いのか?
紙で指を切るとかなり強い痛みが続くことは、誰もがうなずくところでしょう。
ほんの小さな切り傷がなぜこんなにも痛いのか、疑問に感じるかもしれません。
これにはれっきとした科学的な理由があります。
まず「指」という箇所はスマホをいじったり、パソコンのキーボードを叩いたり、料理をしたりと、日常の中で最もよく使っている場所です。
このように普段よく使う部位というのは、例えばお尻や背中といった部位よりも常に意識が向けられる場所であります。
意識が向けられると切り傷の痛みも気にかかりやすいので、痛みも感じやすくなるのです。
加えて、指先はそもそも細かな神経が密に詰まった場所でもあるので、痛みを感じやすくなっています。
指の最も外側を覆う表皮には、物の質感や圧力、温度などを敏感に感じ分けるための知覚センサー(神経の束)があります。
これが紙で傷付けられることで、痛みが神経を通して脳に伝えられます。
それから「紙」の材質にも原因があります。
ナイフやハサミのような刃物であれば、断面が滑らかなため、切り口が比較的綺麗に切れます。
しかし紙の断面は刃物に比べてギザギザしているため、切り口が粗くなり、余計に痛みが強く現れやすいのです。
さらに紙には目に見えないレベルの小さな化学物質を傷口の中に残すことがあります。
それらが表皮の奥の真皮層を刺激して、痛みを強くすることがあるのです。
研究チームは今回、このような指の切り傷を引き起こしやすい「紙の厚さ」を調べてみました。