強酸性の消化液が病原菌を溶かす
一番の理由は胃酸?
スカベンジャー(腐肉食動物)であるハゲタカが病気にならない一番の理由は、『強酸性の胃酸が、病原菌を殺すため』と考えられています。
また、ハゲタカは食事中に、自身の脚周辺に排泄をします。
糞尿にも強酸が混ざっているため、これで死肉に浸かった脚や周囲の環境(牧草など)を消毒しているのです。
周囲に病気が蔓延することまで、防いでくれているんですね。
こうして、サルモネラ菌、コレラ菌、クロストリジウム菌、炭疽菌、狂犬病ウイルスなど、死に至ることもある重篤病の原因になる病原菌を弱体化させています。
ハゲタカの胃酸の力は?
ところで皆さん、私達人間の胃酸の酸性度合いはご存知でしょうか?
pH7以下は酸性、pH7が中性、pH7以上をアルカリ性と表しますが、人間とハゲタカの胃酸のpHを比べると次のようになっています。
人間の胃酸:pH2(弱酸性)
ハゲタカの胃酸:pH0.2(強酸性)
pH0.2というと、塩酸と同程度の強い酸性です。それが胃酸だった場合、どれくらいの威力があるのでしょう?
例えば、私たち人間がフライドチキンの骨を飲み込んでしまったとしましょう。
これを瞬時に胃酸で丸ごと溶かすことはできませんよね?
しかし、ハゲタカの胃酸くらいの強酸性ですと、『コラーゲンというタンパク質』が主成分である骨は丸ごと溶かすことができます。
また、酸性水溶液に弱い金属(鉄鋼や鉛)ならば、時間を掛ければ溶かすことができるでしょう。(参考:「水よう液で金属をとかす」(NHK))
もし死肉に弾丸(鉛玉)がささっていても平気で溶かしてしまうかもしれません。
多くの病原菌のメインの構成成分もタンパク質であるため、ハゲタカはそれらを胃酸で強力に溶かすことができるのです。
もし私達が、ハゲタカの真似をして、大幅に消費期限の切れた食品を食べたらどうなるでしょう?
おそらく、取り込んだ病原菌はそのまま身体の中で生き続けてしまい、腹痛などの病気になってしまうでしょう。
慣れ親しんだ食習慣は、変えるべきではないようですね。