ハゲタカ
ハゲタカ / Credit:Pixabay
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腐肉を食べても病気にならない”清潔ハゲ”な怪鳥「ハゲタカ」 (2/2)

2022.02.13 Sunday

前ページ強酸性の消化液が病原菌を溶かす

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特殊な免疫系、耐性、共生システム

病原菌と共存?

そんな強酸性の胃酸を持つハゲタカですが、それだけでは説明ができないこともあります。

ハゲタカの胃や腸などの消化器官には、死滅していない病原が発見されたのです。

溶かすことに失敗して、生きたままだったのでしょうか?

詳細は解明されていませんが『胃酸での分解が失敗した』とは考えられていません。

現在は『病原菌に対抗する何らかの免疫耐性システムがあり、病原菌と共生(=体内にいても病気にならない)できるようになっている』と考えられています。

免疫のイメージ
免疫のイメージ / Credit:いらすとや

例えば、生物の身体に何か病原菌が入ってきた場合、生物は『抗体』というものを作って、病原菌に対抗します。

抗体は抗原(病原菌)に、鍵と鍵穴のように、ピッタリとくっ付きます。

その後、抗原を分解するなどして、病気を発症できない状態にします。

ハゲタカは、このような『抗体を作る仕組み』を強い病原菌に対しても持っている、もしくは特殊な腸内細菌(毒素を無毒化するような)を飼っている等と考えられています。

食習慣の異なる生物では、腸内フローラも異なっていることが明らかになってきているため、ハゲタカも例外では無いかもしれません。

仲間とワクチン交換?

スカベンジャー仲間でもあるハイエナやライオンも同様ですが、仲間、群れという社会性も免疫獲得に貢献しているようです。

なんと、仲間でワクチンを交換し合っている説があります。

腕に子供注射を与える医師
腕に子供注射を与える医師 / Credit:freepik

しかし、そもそもワクチンとは何でしょうか?

病気になる前に打ちますか? なった後に打ちますか?

特殊な場合(暴露後免疫)を除き、基本的には”病気になる前”に打つのではないでしょうか。

これは、抗原(病原菌)が体内に侵入してきて病気になる前に、抗体という戦士を用意しておくためです。

ワクチンとは、実は弱い病原菌(もしくはその病原菌を作る遺伝情報物質)です。

強く発症しないよう弱毒化されている病原菌、もしくはそれを作る遺伝情報物質(mRNA)を体内に入れ、 病原菌(抗原)に対抗できる抗体を体内で作らせているのです。

そのため、『ワクチンを打ったからといって病気にならないわけではないですよ』と医者に言われ、混乱する方もいらっしゃるかもしれませんが、これはワクチンが抗原(病原菌)の侵入を防ぐものではないためです。

しかし、ワクチンを打つと病原菌が入って来た後に戦う戦士(=抗体)が体内に作られるため、『病気になっても症状が楽!』『楽過ぎて、病気になっていないように感じる!』ということなんです。

スカベンジャー達は、群れで行動したり、毛繕いをし合う、寄り添って同じ死肉を食べるなどすることで、お互いの身体に付着した病原菌を少しずつ交換することがあるようです。

これが天然のワクチンになっている、と考えられています。

毛づくろいする猿。これが病原菌の交換になっている。
毛づくろいする猿。これが病原菌の交換になっている。 / Credit:Free photo

スカベンジャーのこの免疫システムを解明できれば、他の動物も病原菌に打ち勝つことができるかもしれません。

もっと言えば、死に至らしめるような病原菌に対するワクチンを開発できるかもしれません。

また、サバンナのスカベンジャー達は『掃除屋』と呼ばれるくらい、環境を清潔に保つことに貢献しています。

彼らのイメージが変わった方もいるのではないでしょうか?

私達は、自分達の身体に合った現在の生活様式(食習慣など)を変えないようにしつつ、ハゲタカの働きに感謝すべきかもしれませんね。

【編集注 2022.02.21 09:45】
記事内容に一部誤りがあったため、修正して再送しております。

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