身体機能の「置き換え」ではなく「新たな獲得」
身体部位の追加は、これまで多くの科学者たちがチャレンジしてきたことです。
例えば2021年5月、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の研究チームは、「第3の親指」と称する指型デバイスの追加に成功しました。
この指を制御するセンサーは両足首にあり、装着者は「両足のつま先を動かして」人工指を操作します。
確かに、この技術は素晴らしいものですが、私達が考える「新たな指の獲得」とは若干異なっている印象がありました。
なぜならこれは「つま先を動かす」という運動を「指の動き」に置き換えているだけだったからです。
求められているのは、他の身体部位を動かさなくても、追加した指だけを独立して動かせるシステムなのです。
また、追加した指を自分の身体の一部のように感じられる(身体化する)なら、それはまさに「新たな身体部位の獲得」と言えるでしょう。
そんなSFのような技術は実現するのでしょうか?
今回、梅沢氏ら研究チームは、追加した人工指の独立制御と身体化に成功しました。
これらが実験的に立証されたのは世界で初めてのことです。
次項では、彼らが開発した「第6の指」について解説します。