自分の身体の一部と感じる「第6の指」
今回、研究チームが開発したのは、手のひらに装着可能な人工指デバイス「Sixth finger(第6の指)」です。
Sixth fingerは腕の筋肉の電気活動によって制御可能。
しかも従来の指を曲げ伸ばしするため電気活動とは、異なる信号パターンを利用しています。
これにより、Sixth fingerを動かす感覚と、従来の指を動かす感覚が混同することはありません。
つまり他のどの身体部位の動きとも独立して、Sixth fingerを動かすことが可能なのです。
そしてチームは、Sixth fingerを装着した被験者18名の感覚や行動にどのような変化が生じるのか実験的に確かめました。
複数の実験の結果、参加した被験者すべてが、Sixth fingerを思い通りに動かすことに成功。
しかも慣れるにつれて、まるで本物の指のように、感覚的に動かすことができました。
被験者たちはSixth fingerを自分の身体の一部だと感じたのです。
実際、身体化の度合いが高い被験者ほど、Sixth fingerを装着した手の端(小指側)の位置感覚が曖昧になりました。
「装着したSixth finger」を「生来の小指」と同じレベルで自分の身体だと認識してしまったのかもしれませんね。
さて今回の研究結果から、チームは世界で初めて、独立制御可能な「第6の指」の身体化に成功したと言えます。
今後、Sixth fingerの力を増強することで、実世界で使える人工指に発展させられるかもしれません。
例えば6本の指により、タイピングやピアノ演奏のスキルが向上したり、物を運びやすくなったりするかもしれません。
さらに発展させるなら、第3の腕、4本の脚、尻尾や翼の追加につながる可能性もあります。
多くの人が新たな身体部位を獲得する日は、案外遠くないのかもしれませんね。