「電気・水・食料」生産を統合したシステムを開発
さらに研究チームは、特殊なヒドロゲルとソーラーパネルを組み合わせた栽培システム「WEC2P」を開発しました。
このシステムでは、まずソーラーパネルが太陽光で電気を生成。
同時にパネルの廃熱を利用し、空気中から水蒸気を吸収したヒドロゲルの排水を促します。
さらに生成された水は、付属の植物栽培システムに供給され、そこで植物を育てることができます。
実際、サウジアラビアで行われた実験では、60個のホウレンソウの種のうち、57個が発芽。
空気から集められた水だけで18cmまで正常に成長しました。
こうしてヒドロゲルがソーラーパネルの廃熱を吸収したことで、パネル自体の温度も下がり、発電効率は9%も向上しました。
この統合された生産システムは、太陽光パネルの冷却と植物栽培という、それぞれ異なった目的で、互いにメリットを与えていたのです。
まさに一石二鳥のシステムです。
さて、この新しいシステムはまだ研究段階にありますが、大きく発展させられる可能性を秘めています。
例えば、砂漠や孤島などの乾燥地帯や遠隔地に小規模農場をつくるのに役立つかもしれません。
現在チームは、システム効率を向上させるため、ヒドロゲルを改良し、より多くの水分を空気中から吸収できるようにしたいと考えています。