無駄になっていた太陽光エネルギーを再利用
ところが乾燥地帯の国々では、強すぎる太陽光を十分に活用できていませんでした。
日差しの強い乾燥地域にソーラーパネルを設置すると、かなりパネルが熱くなってしまいます。
太陽光発電はパネルが熱くなると、発電効率が落ちるという弱点があります。
そのため、発電効率を維持するためにはこれを冷却させなければなりません。
しかし、熱とは取りこぼした太陽光エネルギーともいえます。
これは単に別のエネルギーを消費して冷やすのではなく、逆に有効活用することができないでしょうか?
この点に注目した研究チームは、余った熱エネルギー活用して、乾燥地帯特有の「水不足」「食料不足」の問題を解決しようと考えました。
そこで電気・水・食料それぞれの生産システムを統合して、エネルギーの無駄を省くシステムを考案。
「太陽光を利用して水をつくり、その水で植物を栽培」しようとしたのです。
そこでチームは、空気中の水蒸気を吸収し、加熱されると凝縮した水として放出する特殊な材料を開発しました。
この新材料はヒドロゲル(またはハイドロゲル)と呼ばれる水を内部に含むゲルの一種です。
この特殊なヒドロゲルをソーラーパネルと組み合わせることで、パネルの排熱を利用して、乾燥地帯でも自動的に水が生成されるようにしたのです。