AI学習によって暗闇で撮った画像がフルカラーに!
人間は電磁波のうち380~760nmの波長しか目で見ることができません。
この範囲の波長は「可視光線」と呼ばれており、可視光線がない場所は完全な暗闇となってしまいます。
では暗闇の中でも、周囲を認識するにはどうすればよいでしょうか?
ここで役立つのが赤外線カメラです。
赤外線はすべての物体から、その温度に応じた量が放射されています。
そのため赤外線自体は人間の目に見えないものの、赤外線量の違いを測ることで可視化できます。
しかしその性質上、赤外線カメラの画像は白黒でしか表現できません。
そこで研究チームは、AIを用いて赤外線カメラの画像をフルカラー化することにしました。
まずチームは、さまざまな人物の「フルカラー顔写真」140枚を用意。
次に、それぞれの写真に対応する「赤外線カメラの白黒画像」も準備しました。
そしてそれら2種類の画像をAIに比較させ、「赤外線カメラによる見え方」と「実際の色の付き方(可視光線による見え方)」の関連性を学習させました。
その結果、赤外線カメラの白黒画像から、フルカラー版を予測して着色することが可能に。
実際、「AIでフルカラー化した人物画像」と「元のフルカラー写真」を比べても、大きな違いはありませんでした。
とはいえチームは、「AIによる色の選択は、“証拠に基づいた判断結果”ではなく、“最善の推測”である」と説明しています。
また、「今回は人物の顔画像を学習させただけなので、他の種類の画像で試してもうまくいかないだろう」とも付け加えました。
さらに現段階では、AIに学習させたとしても、イレギュラーな配色を予測することは難しいでしょう。
例えば、果物の画像を学習させた場合、一般的なパターンから「バナナは黄色」だと予測しますが、「未成熟な緑バナナ」には騙されてしまうのです。
総合的に考えると、今回の技術がすぐに実用化されることはないでしょう。
それでも近い将来、完全な暗闇でもフルカラー再現する暗視ゴーグルが登場するかもしれないのです。