体重の50倍以上の力でメスにしがみつく
チームによると、メスを見つけられなかったオスは、アンプレクサス中のペアを探し出し、何時間も、何日もかけて、背中のオスを引き剥がそうとしました。
オスの手足を引っ張ったり、自分の体をペアの間にねじ込んだりと、あらゆる手を使うのですが、成功することはほぼなかったという。
研究室で実験したところ、2番手のオスは85%の確率でメスの略奪に失敗しました。
また面白いのは、メスにしがみつくオスがどんなに小柄で弱々しく、2番手のオスがどんなに大きくても、結果が同じだったことです。
そこでチームは、特殊な機材を用いて、メスにしがみつくオスを引っ張り、引き剥がした時点での力を計測する実験を行いました。
その結果、ペアを引き剥がすには、平均して約18N(ニュートン)の力が必要でした。
これはオスの体重の52倍に相当する力です。
力の単位N(ニュートン)は、ある重さを支えるのに必要な力として表現されます。
これを踏まえるとカエルのしがみつく力は、人間から見て5000kg近くあるアフリカゾウを支えるのと同じ力を発揮していることになります。
一方で視点を変えてみると、これはメスにとってかなりの苦行ではないでしょうか。
とんでもない力で5カ月近くもしがみつかれ、その状態で、産卵に最適な場所を探さなければならないのです。
ただ、メスにとってオスがどれくらいの重荷になっているのかはわかりません。
研究チームは「まだ明確なことは言えないが、メスにとっても何らかの利益がある可能性が高い」と話します。
たとえば、苦労して見つけた場所に産卵したとき、側にオスがいると、すぐにも卵の受精が完了できます。
チームは、これについて「メスはただ迷惑なハグをされるだけの受動的な存在ではないのでしょう」と述べています。
もしかしたら、メスにとってオスは”精子入りのリュックサック”くらいの認識なのかもしれません。