首の長さは「胴体の2倍」が限度
エラスモサウルスの3Dモデルを使ったシミュレーションの結果、首がある一定の長さを越えると、余分な抵抗力を生み、遊泳効率を下げることがわかりました。
そして、遊泳効率を低下させない首の長さの限界は、胴体の長さの2倍程度と判明したのです。
要するに、胴体が首の長さの半分以上あれば、抵抗力をカバーするには十分だということを意味します。
その証拠に、保存状態の良い実際の化石を大量に調べたところ、ほとんどのエラスモサウルスの首の長さは、この比率の限度以下に収まっていたのです。
さらに、首の長い種ほど、胴体の比率が大きくなっていることも確認されました。
これを踏まえると、クジラのような大型の水生生物でも、首長竜に見られる極端な形状を持つ余裕があると考えられます。
長い首が欲しければ、その分、胴体も大きくすれば良いのです。
しかし、このルールには限度があります。
体は無限に大きくできるわけではなく、巨体にはそれだけ生物学的な制約や、いくつものデメリットがあるからです。
同チームのマイク・ベントン(Mike Benton)氏は、次のように指摘します。
「そのため、首長竜の首の長さは、狩りで得られる利益と、そのような長い首を成長させ維持するためのコストとのバランスをとっているようです。
言い換えれば、彼らの首は、水中での抵抗力を最小限に抑えるために、体全体の大きさとバランスをとって進化したのでしょう」