首の長さで生じる抵抗力を「体の大きさ」でカバー
四肢を持つ脊椎動物は、過去2億5000万年の間に繰り返し地上から海に戻っており、イルカによく似た絶滅爬虫類の魚竜(Ichthyosaurs)や、体長25mを超えるクジラなどに進化しました。
中でも極端な形態に進化したのが、非常に長い首と4つの大きなヒレを持つ「首長竜(Plesiosauria)」です。
魚竜やクジラの体は、水中の抵抗力が少ない流線型をしており、すばやい泳ぎに適した体型をしていました。
一方の首長竜は、胴体から伸びる長い首が強い抵抗力を生み、水中での動きを鈍くしていたと考えられます。
中でも、エラスモサウルスには、首の長さが6メートルにも達するような種までいたという。
これまで、首長竜たちの遊泳効率に、体型やサイズがどのように影響するかは明らかになっていませんでした。
そこで研究チームは、首長竜・魚竜・クジラ類の化石をもとに様々な3Dモデルを作成し、体型やサイズが遊泳効率に与える影響を調べる、フロー(流体)シミュレーションを実施。
その結果、首長竜は、確かに魚竜やクジラ類より強い抵抗力を受けていたものの、遊泳効率は予想されたよりずっと高いことがわかりました。
3Dモデルの周囲に発生する流体速度を比較しても、首長竜の遊泳スピードは、決して魚竜やクジラ類より遅いものではなかったのです。
特に、グループ間に見られる抵抗力の差は、体型ではなくサイズを考慮すると、有意なものではなくなりました。
首長竜は、極端な形態(長い首)によって生じる抵抗力を、体の大きさでカバーしていたのです。
体が大きいと、その分だけ筋肉量も増え、抵抗力を補うだけの体力や遊泳スピードを得られたと考えられます。
研究主任のスサナ・グタラ・ディアス(Susana Gutarra Díaz)氏は、この結果について、「水生生物の遊泳効率を決定するのは、体型よりサイズである」と述べています。
次にチームは、首長竜の中でも特に首の長いエラスモサウルスについて、詳しく調査しました。
すると、首の長さと胴体の大きさに関して、とても興味深い結果が出ています。