天然痘の治療のために開発された抗ウイルス薬に治療効果があった
研究では7人の患者たちに対して2種類の抗ウイルス薬が投与されました。
これらの抗ウイルス薬はもともと、天然痘の治療薬として開発されたものでした。
天然痘ウイルスとサル痘ウイルスは遺伝的に非常に近く同家系とも言える間柄であるため、天然痘用の抗ウイルス薬でもサル痘を治療できる可能性があったからです。
実際、人間に先立って行われた動物実験では、どちらの薬もサル痘に対する治療効果がありました。
研究では7人の被験者のうち3人は治療薬なし、3人に抗ウイルス薬「ブリンシドフォビル」が投与され、残りの1人には別の抗ウイルス薬「テコビリマット」が投与されました。
結果、ブリンシドフォビルを投与された3人では効果が確認できず、肝臓に危険な副作用があらわれたため使用が中止されました。
一方で、テコビリマットを投与された1人の患者では急速な回復がみられました。
(※ウイルスは血液だけでなく鼻や喉など上気道でも検出されています)
薬の効果を確かめるには通常、プラセボ(偽薬)を用いた試験を必要とします。
研究者たちも試行回数の少なさを認めているものの、感染の急拡大が起きている現状では、わずかな情報でも役に立ちます。
財団の研究者たちは今後、サル痘の感染者が多い中央アフリカ共和国において「テコビリマット」の有用性を再検討すると述べています。
なおテコビリマットは現在、米国などで天然痘を使ったバイオテロに備えて200万回分が備蓄されているようです。