静電気の分布を発光で知らせる新技術
今回研究チームは、「静電気で発光する材料」によって、静電気の測定と予測を可能にしたいと考えました。
ところが、静電気で発光する物質は未だ見つかっていません。
そこでチームは、電荷の移動で発光する既知物質を系統的に調べていくことにしました。
その結果、セラミックス微粒子「SrAl2O4:Eu2+」が空気中のイオンや帯電粒子などに反応して発光すると判明。
しかもこの微粒子は粒径が数µmであり、電源を必要とせずに、静電気に由来する電荷を検知して光として出力できます。
これはつまり、世界最小の静電気センサーとも言えるのです。
この微粒子を対象物に塗布したり、微粒子を添加したフィルムを巻き付けたりするなら、静電気の発生する兆候を肉眼で確認できるでしょう。
実際に動画では、セラミックス微粒子を添加したフィルムに電荷を放射していますが、帯電領域をはっきりと確認できます。
また静電気発生器にセラミックス粒子を塗布することで、指を近づけた際に生じる目に見えない放電も可視化することに成功しました。
セラミックス粒子から作られた材料は、材料が帯電するときと放電するときの両方で発光するのです。
この新しい技術を利用するなら、いつ、どこで発生するか分からない静電気をデータとして蓄積し、トラブル回避に役立てられるでしょう。
今後チームは、この新しい材料を利用して、静電気発生のモニタリングと静電気対策の実証実験を行う予定です。