エタノールを投与すると植物に高温耐性がつく
関氏ら研究チームは、以前から植物の耐性を高めるための研究を行ってきました。
実際、2017年の研究では、植物が被る塩害に対して、高い耐性を持たせることに成功しています。
その方法はシンプルで、「植物にエタノールを投与する」というものでした。
エタノールはアルコールの一種であり、私たちが飲むお酒の主成分でもあります。
つまりお酒を与えることで植物の塩耐性が高まったのです。
ちなみにエタノールには安価で入手しやすいというメリットがあるため、作物の耐性を高める将来有望な材料だと言えます。
では、同様の方法で、他の耐性も高めることができるのでしょうか?
今回研究チームは、エタノールを植物に投与することで、高温耐性が高まるか実験しました。
ポットに植えられたシロイヌナズナ(モデル植物としてよく利用される)とレタスを、エタノール水溶液が入ったトレーに3日間置くという方法で、エタノールを投与したのです。
その結果、50℃という環境下で、植物の生存率が上昇しました。
つまりお酒を与えることによって、植物の高温ストレス耐性も向上していたのです。
写真を見るとエタノール処理の有無で、シロイヌナズナの生存率やレタスの生育の程度が大きく異なると分かります。
では、どうしてエタノールを投与することで、植物の高温耐性が向上したのでしょうか?