作物の「ストレス耐性」を高めるには?
まず、植物がもつストレス耐性のメカニズムについて考えてみましょう。
作物が環境の変化でダメになってしまうのは、なぜでしょうか?
その原因の1つには、「小胞体(しょうほうたい)」が関係しています。
小胞体とは、動植物の細胞内に存在する小さな器官です。
ここでは動植物が生存していくのに欠かせないタンパク質の加工(フォールディング)が行われています。
しかしこの加工プロセスは、外部の刺激(環境ストレス)に非常に敏感です。
そのため高温や乾燥、病害などが原因で、タンパク質を正しく加工できず、不完全なタンパク質を蓄積してしまうのです。
タンパク質が正しく加工されないので、作物であれば当然元気に育たず、ダメになります。
しかし生物は優秀なので、この「タンパク質の加工失敗」に対処するシステムも持ち合わせています。
それが「小胞体ストレス応答(UPR)」と呼ばれる機能です。
これによって、作物はある程度の環境ストレスに耐えられる、というわけです。
では、もっと大きな環境ストレスに耐える作物を生み出すにはどうすれば良いでしょうか?
小胞体ストレス応答をパワーアップさせれば良いのです。