血液中を循環するがん細胞
がんは血液を通して、転移します。
悪性度の高いがん細胞が血管内に入り込み、血液中を循環。
循環するがん細胞が血管外に出て、他の場所でも増殖するようになるのです。
血液中を循環するがん細胞のことを「循環腫瘍細胞(CTC:circulating tumour cells)」と呼びます。
そのためがん検診では、画像診断だけでなく、血液検査も行われます。
血中にCTCがどれほど存在するか調べることで、がん細胞の特徴や悪性度を把握できるのです。
そして今回の新しい発見は、がんの血液検査に大きな影響を与えることになりました。
発見のきっかけは、アチェート氏と同僚が行ったCTC検査における時間帯の違いでした。
彼らが腫瘍をもつマウスの採血を行ったところ、時間帯によってCTCレベルが大きく異なっていたのです。
そこでアチェート氏は次に、乳がんで入院中の女性30人の血液を、午前4時と午前10時にそれぞれ1回ずつ採血してみました。
その結果、血液サンプルから検出された全CTCのうち約80%は、午前4時に採取されたものでした。
つまり、患者がまだ寝ている時間帯に、血液中のがん細胞が増加していたのです。