がんと概日リズムには関連性がある
今回の発見からどのような教訓が得られるのでしょうか?
ニューヨーク・ルートヴィヒがん研究所(Ludwig Institute for Cancer Research)のがん生物学者チ・バン・ダング氏は、次のように述べています。
「今回の教訓の1つは、血液サンプルを採取する時間帯によって誤解が生じるかもしれない、ということです
つまり、医師はがん検査する時間帯を見直した方が良いかもしれません」
とはいえ現段階では、なぜ睡眠中にがん細胞が活発になり、血中のCTCレベルが上昇するのかは分かっていません。
ダング氏は、「概日リズムとがんの複雑な関係を理解するには、もっと多くの研究が必要です」と述べていました。
また今回の実験結果から、「がん患者は睡眠時間を短くすればよい」と考えるべきではありません。
イギリス・マンチェスター大学(The University of Manchester)に所属するチンジャン・メン氏も、「いくつかの研究では、睡眠が7時間未満のがん患者は死亡リスクが高いことや、マウスの概日リズムを乱すとがんの進行がはやくなることが示されている」と述べています。
そして「今回の結果は、単に、がん細胞が24時間サイクルのうち、特定の時間帯を好むことを示しているに過ぎない」と付け加えました。
「がん細胞が睡眠中に積極的に広がる」という発見が、今後どのように治療に生かされるか分かりませんが、明るい進展があることを願いたいものです。