網膜の神経を一時停止させると大人でも弱視が治る
弱視(amblyopia)は、片目だけ極端に視力が低い症状のことですが、これは近視や遠視、乱視などとは根本的に異なります。
近視や遠視、乱視は「屈折異常(refractive error)」と呼ばれる状態で、眼球の長さや厚み、角膜の形のバランスがずれることで、網膜に上手くピントが合わない状態を指します。そのため、メガネやコンタクトレンズで光の屈折を補正すれば、多くの場合ははっきり見えるようになります。
一方弱視は、生まれつき「斜視」や片目の「眼瞼下垂(まぶたが垂れ下がって見えづらい状態)」、先天性白内障などで片方の目から届く映像が正常でないとき、脳がその目の情報を「いらないもの」とみなしてカットするようになることで起こります。
これは言わば、目から信号は来ているのに、脳が映像処理をサボっている状態なので、メガネやコンタクトレンズで矯正しても視力が回復しません。
弱視は治療可能ですが、それは神経が発達段階の幼少期までで、大人になると治療は困難とされてきました。
しかしこの「大人になってからはもう手遅れ」という前提に、長年疑問を投げかけてきたのが、マサチューセッツ工科大学のマーク・ベアー教授らの研究チームです。
研究チームはこれまでの研究で、弱視のときに脳内でどのように神経回路が作り替えられるのかを詳しく調べる中で、ある奇妙な現象に気づきました。
それは、動物の網膜の神経活動を一時的に完全に止めると、本来は回復しないはずの大人の弱視でも、脳の視覚応答が元に戻ってくるという現象です。
2016年には、両方の網膜を数日間だけ麻酔して神経活動を止めると、弱視によって低下していた視力が回復しうることが報告されました。
続いて2021年には、弱視ではないほうの「よく見える目」だけの網膜を一時的に麻酔しても、弱視側の目の見え方が改善することが示され、子どものパッチ治療に似た効果を、大人の動物でも誘導できることが分かりました。
つまり、「網膜の神経活動を一度停止させる」という極端な操作を行うと、臨界期を過ぎた脳でも弱視からの回復が起こり得ることが、すでに一連の動物実験で確かめられていたのです。
しかし、この時点ではまだ大きな謎が残っていました。
なぜ網膜の神経活動を止めると、大人の視覚回路でも再び変化が始まるのでしょうか。そして、従来は「良いほうの目を止める」ことが前提でしたが、本当にそれが必須なのでしょうか。
今回の新しい研究は、こうした疑問について検証してみることにしたのです。

























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