ラストワンマイルを配達するドローンがCO2を84%削減する
ラストワンマイルの煩雑な配送を解消する方法として、最近では「ドローン配達」に注目が集まっています。
集配所から個人宅までの最終区間で、トラックを走らせるのではなくドローンを利用するというのです。
実際にAmazonなどでは既にドローンやロボットを利用した配送テストが行われているようです。
そして新型コロナウイルスの影響もあり、配達業者を介さない方法に対して、利用者の側にも肯定的な意見が増えてきました。
実際、2020年の半ばに実施されたポートランド州立大学(Portland State University)の調査によると、60%以上の人が「自律型ロボットによる配達に対して追加料金を払う意思がある」と答えました。
こうした背景にあって、ロドリゲス氏ら研究チームは、ラストワンマイルにおける配達ドローンのCO2排出量とエネルギー消費量を調査し、他の配達方法と比較することにしました。
今回の実験では、4つのローターをもつ「クアッドコプター」に0.5kg以下の小包を取り付け、毎秒4~12mの速度で飛行させました。
このドローンは電気で動くためCO2を排出しませんが、代わりに消費した電力を算出し、その電力分を発電する際に排出されるCO2量を「CO2排出量」としています。
その結果、小包あたりのドローン(上図のVery small quadcopter drone)のCO2排出量は、ディーゼルトラック(上図のMedium duty diesel truck)の排出量に比べて84%少ないと分かりました。
また、エネルギー消費量もディーゼルトラックと比べて最大94%少ないと判明しました。
ただし研究チームによると、「ドローンは1度に1つの荷物しか運べないため、多くの荷物を運ぶ場合は、1台のトラックよりもエネルギー効率が悪い場合がある」ようです。
1つの家に複数の小包を届ける場面では、何機ものドローンを飛ばすよりは、トラックでまとめて持っていった方が効率的なのです。
また、電気自転車を使った配達や自転車を使った配達は、ドローンよりもエネルギー消費量とCO2排出量を削減できるようです。ただしこの場合は当然、配達員の負担は増大すると考えられます。
こうしたエネルギー効率の調査は、「小包1つしか配達できないドローンと、人間の配達員をどのように使い分けるか」を決定する際に役立つ可能性もあります。
ドローン利用による、配送の効率化とCO2削減効果には目を見張るものがあります。
ドローンも交えた柔軟な配達方法が確立されれば、配達員の負担削減とともに環境問題に対しても多くのメリットが得られるでしょう。
ドローンの配達にはまだ不安の声も多く聞かれますが、さまざまなメリットを考慮するとドローンが荷物を届けてくれる将来も、そう遠くないのかもしれません。