自分に合ったフォントだと、読書スピードが最大35%アップ!
本研究は、UCF内に設立されているReadability Consortiumの主導で行われました。
この研究所は、読解力と読書速度を向上させるための”デジタル上での文章の読みやすさ”について日々研究を進めています。
研究チームは今回、異なるフォント(書体)で表示されたテキストを読む場合の読解力と読書速度を分析しました。
調査では、18歳から71歳までの多様な人種を含む352人の参加者に、「個人所有のデバイスでデジタルテキストを読む」という課題に取り組んでもらっています。
参加者には、ウェブサイトのテキストやオンライン上の新聞紙、PDFの文章について、16種類のフォントで読んでもらいました。
この16種類は、一般的なデジタルテキストの媒体で使用頻度の高いものを選抜しています。
同時に、「リーダビリティ(Readability)」という読解力を調べるテスト文章についても同様のタスクを行いました。
以下は、4つのテキスト媒体と16種類のフォントのサンプルを表示したものです。
サンプルワードには「Rewashington」という文字が使用されています。
その結果、参加者の読書速度は、フォントの種類によって大きな違いが出ることがわかりました。
読むスピードが”最も速くなったフォント”を”最も遅くなったフォント”と比べてみると、参加者の読書速度(WPM:words-per-min、1分間に読める単語数で計測)は、最大35%も向上することが示されています。
そして重要な点として、読むスピードが速くなっても、参加者の読解力は落ちることなく、維持されていました。
ただし、読書速度を最大化するフォントは参加者によって異なり、自分に最も適したフォントを探す必要があるようです。
加えて、フォントに対する個人の好みが読書速度を予測するとは限らず、読者は必ずしも自分の理想のフォントを認識していないことも明らかになりました。
つまり、好きなフォントがあるからといって、それがあなたの読書速度を上げてくれる最適な形式とは限らないのです。
もしかしたら、あなたの嫌いなフォントこそが、あなたの読書速度を最大化してくれるかもしれません。
ちなみに、自分に最適なフォントは、こちらのVirtual Readability Labテスト(英語のみ)を受けることで探せます。
Readability Consortiumのディレクターで、本研究主任のベン・ソーヤー(Ben Sawyer)氏は、今回の結果について、「自分に合ったメガネを探すように、フォントを認識するべきだ」と指摘します。
「適切なフォントを使用することで、個々人のテキストの見え方は大きく変わり、より速く文章を読めるようになるでしょう。
また、最適なフォントは個人によって違うため、個々人の読書体験をリアルタイムで最適化できるようなデジタルツール(たとえば、自分に最適なフォントを自動で検索してくれるアプリなど)の作成が奨励されます」
ただ注意したいのは、皆さんもご想像のように、今回の研究は英語に焦点を当てたものであり、日本語において同様のことが言えるかどうか現在不明です。
アルファベットを基本とする英語とは異なり、日本語は、漢字・カタカナ・ひらがな・その他、多様な文字形態が入り混じっています。
こうした日本語でも、フォントを変えるだけで読書速度が上がるのかは大いに疑問です。
今後、日本語を含む世界各国の言葉での調査が期待されます。