十五夜の雑学
なぜススキを供えるのか?
十五夜のお供え物として、欠かせないものといえばススキです。
なぜススキを供えるのかというと、豊穣の象徴である満月に感謝として芋や豆などの収穫物を捧げます。日本の秋の収穫物の主役といえば米ですが、稲穂が実る時期と合わないため、稲穂の代わりにススキを供えたという説があります。
ほかには、ススキは茎の内部が空洞なために神の依代と考えられていたこと、切り口が鋭いので魔除けになるとして、無病息災や豊作祈願の意味も込められていたようです。
「秋の七草」の萩で花見と月見はいかが?
七草といえば、有名なのは「春の七草」ですが、「秋の七草」もあります。
昔の十五夜では、秋の七草も飾って楽しまれていました。そして、ススキは秋の七草のひとつでもあります。
秋の七草は以下。由来になった、万葉集で詠まれた順に記載します。
- 萩(はぎ)
- 尾花(ススキ)
- 葛(くず)
- 撫子(なでしこ)
- 女郎花(おみなえし)
- 藤袴(ふじばかま)
- 桔梗(ききょう)
この中では、萩がもっとも名所が多く、注目度が高い花かもしれません。秋は月を見ながら萩を楽しむというのも風流でおすすめです。
以下、名所をいくつかあげてみました。
日本三大名園のひとつで梅で有名ですが、萩もたくさん植わっており、毎年9月に萩まつりが開催されます。
今年は9月17日から10月2日に萩まつりがあります。全長30メートルの萩のトンネルが見どころ。
通称「萩寺」と呼ばれ、江戸時代から萩の名所として有名。
ちなみに「春の七草」は食べられますが、「秋の七草」は基本的に食べられません。葛だけは根からとったデンプンを食用にしますが、葉っぱは食べませんね。
なお、吉野など葛粉の名所のある関西では「くず餅」というと葛粉を使ったものですが、関東だと小麦粉のデンプンを発酵させたものなので別物です(関東と関西で違うのは、なんだか桜餅みたいですね)。
十五夜のハロウィン的な風習
お月見とイベントとして時期がかぶるのが、すっかり日本にも定着した感のあるハロウィンです。
実は日本に「お月見泥棒」というハロウィンとちょっと似ているお月見イベントがあるのをご存知ですか?
十五夜の日に限り、子どもたちはお月見のお供え物を盗んでもいいというもので、長い棒の先に針金などをつけて、お月見団子を引っ掛けて盗んだとか。
子どもたちは月からの使者と考えられたそうで、盗まれたほうがよく、盗まれやすいようにお供え物が置かれることもあったとのこと。
また、このようにこっそり盗むのではなく、堂々と「お月見ください」「お月見泥棒です」と声をかけて家をまわってお菓子などをもらう風習もあるそうで、もっとハロウィンに近いですよね。
そんな「お月見泥棒」の風習は、今では廃れてきたものの、東北、中部、近畿、九州など全国的な範囲の農村部を中心に残っているところもあるそうです。
9月は台風シーズンでもあり、天気はちょっと心配ではありますが、全国的には月を見られる場所もありそうです。
この数カ月は夜でも蒸し暑い日が続き、ゆっくり空を見るのは厳しかったものの、最近は朝晩心地よい日も増えてきました。
9月の月は「ハーベストムーン」で収穫の月で十五夜にピッタリの名前です。実りの季節に感謝しつつ、観月を楽しんではいかがでしょうか。