初対面の人には「喋りすぎ」なくらいで良い
研究チームの調査によると、多くの人たちは初対面の相手との会話において、「好感を持たれるためには喋りすぎない方がいい」と考える傾向にあるようです。
これは、私たち日本人でも思い当たる方が多いでしょう。
しかし実際には、おしゃべりし過ぎなくらいの方が良いようです。
今回の研究では、116名の参加者を募り、互いに初対面同士のペアを作って、会話をしてもらいました。
次に、それぞれの参加者には、規定の会話時間のうち、自分が話す時間が全体の約30%、40%、50%、60%、70%の割合のどれかになるよう意識してもらいます。
この割合の指定はランダムに振り分けており、たとえば、30%を指定された人は、全体の会話のうち、自分が話す時間が3割、相手の話を聞く時間が7割になるよう努めてもらいます。
(※ 10分間の会話であれば、3分は自ら喋って、7分は相手の話を聞くイメージ)
実験後、各参加者には、会話相手に対し、どんな印象を持ったかを質問しました。
その結果、一般に流布している考えとは反対に、発言量が多かった人ほど、初対面の相手に好印象を持たれやすいことが判明したのです。
この結果は、過去に行われた先行研究とも一致しています。
たとえば、ある研究では、初対面のペアの参加者のうち1人を「話し手」、もう1人を「聞き手」の役割にランダムに振り分けました。
そして、12分間の会話の後、相手の印象を聞いてみると、話し手が聞き手に好意を持つよりも、聞き手が話し手に好意を持つ方が圧倒的に多かったのです。
その理由として、研究者は「会話相手についてより多くの情報を得ることで、自分との共通点を見つけたり、相手への親近感を抱きやすくなるから」と指摘しています。
逆に、自分のことをあまり話さない相手(聞き手)は、何を考えているか見当がつかないので、好印象を抱きづらいものと考えられます。
こうした先行研究のデータも含め、初対面の人に好印象を与えるには、通常よりも積極的に話した方が得策であると研究チームは述べています。
注意したいのは、この「通常より」という点です。
今回の実験では、最大でも話す時間が70%を越えないように設定しており、「それ以上喋るのは逆効果の可能性がある」と研究者は指摘します。
確かに、自分だけ喋って、相手に話す隙を与えない人が、好印象を持たれるとは考えにくいです。
この研究は、会話相手を圧倒するのではなく、むしろ、普段の自分より少し多めに発言することを推奨しています。
他方でチームは、今回の実験内容に関し、「実験者が参加者に対して、話す時間の割合を強制している点で、日常の自然な会話を反映していない」と注意を促します。
チームは今後、本研究の成果が、より自然な日常会話にも当てはまるかどうかを調査する予定とのことです。