相手がみえないオンラインゲームで脳の同期は起こるのか?
協力する相手が認識できなくても脳の同期が起こるのか?
調査にあたってはまず、被験者たちに2人組のペアを作ってもらい、物理的に隔離された部屋に配置した状態で、簡単なオンラインゲームを行ってもらうことにしました。
このゲームは「1台の車を2人で操縦するレースゲーム」となっており、1人目が車のアクセルとブレーキを使った加減速を担当し、2人目がハンドル操作を担当します。
コースは上の図のように4種類が設定され、通常のレースゲームのように「道」部分で素早く加速できますが、コースアウトした「泥」部分では減速してしまいます。
ゲームを行うにあたっては、プレーヤーたちにの頭部に脳波測定器を設置して、できるだけ早く巡回するよう求められました。
一方、本物のペアと比較するために測定結果から「ニセペア」の抽出も行われました。
本物のペアが実際に共同でゲームを行ったのに対して、ニセペアは1人目と2人目が別のペアから抽出された測定結果が組み合わされています。
実際に組んでゲームを行った本物のペアと、実際に組んでゲームを行っていない組み合わせによって選抜されたニセペアの比較を行うことで、本物のペアに起きた脳波の同期レベルの高さを導き出すことが可能になります。
(※比較するニセペアの成績は本物のペアの成績に近くなるように組み合わせられました。たとえば本物のペアが10秒でコースを回れた場合、作成されるニセペアの組み合わせも10秒に近いものたちが選ばれました。これによってゲームの性質やコースの癖など他の要素を排除して、本物のペアだけが持つ特徴を探し出すことが可能になります)
すると(本物のペアでは)ゲームの瞬間的なパフォーマンスの高さはガンマ波の同期レベルと相関しており、平均的なパフォーマンスはアルファ波の同期レベルと相関していることが判明します。
この結果は、相手を直接認識できない状況においても、脳波の同期が発生しており、協同行為のパフォーマンスの向上に重要な役割を果たしていることを示します。
しかしより興味深い結果は、脳波の同期レベルと休憩効果の関係にありました。