土星と海王星は以前に共鳴していた
土星の自転軸は現在26.7度に傾いています。
この傾きには、土星から第6衛星「タイタン」、海王星に至るまでの一連の重力作用が影響していると考えられてきました。
実際、土星の歳差運動(自転軸が円を描くようにぐらつく現象)の速度は、海王星の軌道全体がぐらつく速度に非常に似ていると報告されています。
土星の軸はコマのようにぐらついており、太陽をまわる海王星の軌道もフラフープのようにぐらついています。
そして両者のぐらつきがまるで「共鳴」しているかのように似ているというのです。
そこで今回、ウィズダム氏ら研究チームは、土星探査機カッシーニ(2004-2017年運用)から得られた最後のデータを元に、土星の重力場マッピング、惑星内の質量分布のモデル化、慣性モーメントの計算を行い、土星と海王星の共鳴について詳しく調査することにしました。
その結果、土星と海王星のぐらつきは非常に似ているものの、共鳴しているわけではないと分かりました。
しかしウィズダム氏は、「土星と海王星のぐらつきは非常に似ており、偶然ではありえない」と考えています。
そして、「以前は共鳴していたが、何らかの理由により、現在では共鳴しなくなった」という結論に達しました。
では、どんな理由で土星と海王星は共鳴しなくなったのでしょうか?
研究チームは、その原因が土星をまわる衛星にあったと考え、さらなるシミュレーションを実施しました。