がん細胞のマトリョーシカ化を防ぐ方法
免疫療法の未来は手詰まりなのか?
結論から言えば、そんなことは全然ありませんでした。
免疫療法にはマトリョーシカ化していなかったがん細胞たちを全滅させる効果があることが実証されています。
そのため、がん細胞がマトリョーシカ化するのを防ぐことができれば、免疫療法の効果は劇的に上がるはずです。
研究者たちは、がん細胞が仲間のがん細胞に飲み込まれる過程が、同種の細胞同士がお互いを飲み込む貪食の過程(エントーシス)に似たものであることに気付きます。
そこで、マトリョーシカ化しようとするがん細胞たちに対して、エントーシスにおいて重要な役割を果たすタンパク質「ROCK」の阻害剤を与えてみました。
結果、がん細胞たちのマトリョーシカ化がほぼ完全に防止されていることが判明しました。
また細胞内部の骨組みとなるアクチンフィラメントや細胞の新規mRNA合成、タンパク質合成を阻害した場合にも、マトリョーシカ化が起きないことが判明します。
これらの結果は、がん細胞のマトリョーシカ化を防ぐには、がん細胞が新たに作ろうとしているタンパク質のいくつかを無力化することが重要であることを示します。
もしそのような機能を持つ薬が開発できれば、免疫療法と併用することで、がん細胞をより効率的に排除することができるようになるでしょう。