カラスの葬式とは?
カラスの生態については、一部有名なものもあったかと思いますが、「仲間の死に対して、特別な行為を取ること」はあまり知られてはいないのではないでしょうか?
その1つは「ネクロフィリア(屍姦)」というものです。鳥類にはペニスが無いため、総排出腔をこすりつけて交尾を行います。なんと、カラスが仲間の死骸にその行為をする様子が確認されているのです。
「屍姦」と聞くと、「恐ろしくて、世にも珍しいもの」のように感じるのではないでしょうか?
確かに、人間の世界においては、珍しい異常性癖の一つとして知られています。しかし、ネクロフィリア自体はイルカ、リス、カエル、トカゲなどの他の動物においても確認されており、さほど珍しいものではありません。
特に、キース・ムーリカー氏がマガモのネクロフィリアについて発表した論文は、イグノーベル賞を受賞し、世界中で話題となりました。
ネクロフィリアの原因については「繁殖期におけるホルモンの異常で、いつもと違う感覚にとまどい、衝動が押されらなくなっていること」「仲間の死が認識できないこと」などが挙げられていますが、完全には解明されていません。
動物の嗜好を判明させることは難しいですが、ただの変態行為では無いことを祈ります。
また、カラスは仲間の死骸の周りに集まる行為、つまり葬式のように見える行為を行うことがあります。
まず、仲間の死骸を確認すると、その周囲に何羽も集まりだします。死骸を食べることはなく、弱くつつくような行為をすることもあります。
死骸には、猛禽類などの肉食動物や、清掃目的の人間が近寄ってくることがあります。しかし、そのような外敵を確認すると、周りにいたカラス達は甲高い鳴き声をあげて、外敵を追い払おうとする「モビング(擬攻撃)」と呼ばれる行為を盛んに行うのです。
カラスがこのような葬式を行う理由は「死骸の場所から、危険な環境を知るため」「寄ってきた者を確認し、危険な外敵を知るため」と考えられています。
つまり、「仲間の死から、有益な情報を得ようとしている」というのが有力な説です。
しかし、仲間に共感する知能があるカラスですから、仲間の死を悲しんでいる可能性もあるかもしれませんね。
ちなみに、仲間の死を悲しむような行動は、動物界においてはゾウ、霊長類など限られた動物でのみ確認されています。これらの動物は「死骸に近づき優しく接する」「外敵から死骸を守る」などの行動を見せるのです。
「動物の感情を測ること」はとても難しい課題とされています。しかし、もしかすると「私達人間のような、豊かな感情を持った動物がいること」が発表される未来も近いのかもしれません。
ヒトと共に暮らす賢い鳥
カラスは非常に身近な鳥であり、「知能が高いこと」は広く知られているかと思います。
しかし、人間のように「遊び」「他者への共感」まですることには、驚いた方も多いのではないでしょうか?
私達と共通点が多いと知ると、親近感が沸くものですね。
しかも、人の顔もバッチリ覚えられるカラスですから、近所で見かけるカラスは皆さんのことを「いつものあの人だ!」と認識しているかもしれません。
害鳥として扱われることも多いカラスですが、ぜひ愛着を持って接してあげて下さい。