都会でよく見られるハシボソガラス
都会でよく見られるハシボソガラス / Credit:パブリックドメイン
animals plants

葬儀にネクロフィリア!? 仲間の死にも特別な行動をとる知能が高いカラスの不思議

2022.12.18 Sunday

私達にとって、とても身近な鳥「カラス」。世界中の神話にも数多く登場してきたほど、人類には古くから馴染みのある存在でした。

ご存知の通り、多くのカラスの体色は真っ黒で、どこに目があるのか分からないほどです。

そのことを示すように、カラスは漢字で「烏(カラス)」と書きますが、この字は「鳥(トリ)」から目に当たる横棒を一本抜いた形から来ています。

今回は、身近だけれど意外と知らない「カラスの生態」に迫ります。

Do Crows Mourn Their Dead?, Aishwarya Ahuja https://www.scienceabc.com/nature/animals/do-crows-mourn-their-dead.html Crows Sometimes Have Sex With Their Dead, Ed Yong https://www.theatlantic.com/science/archive/2018/07/crow-necrophilia/565442/ How a dead duck changed my life, Kees Moeliker https://www.ted.com/talks/kees_moeliker_how_a_dead_duck_changed_my_life
Occurrence and variability of tactile interactions between wild American crows and dead conspecifics, Kaeli Swift https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rstb.2017.0259

カラスの基本的な生態

高い木の上に営巣するカラス
高い木の上に営巣するカラス / Credit:Pixabay

まず、カラスは鳥類の中で、スズメ目、カラス科に属しています。スズメ目は巨大なグループのため、ほとんどの鳥類がここに属しています。よって、スズメ目の鳥類を全て仲間と呼ぶのは、少々乱暴です。

では、カラスの仲間といえるカラス科には、どのような鳥がいるのでしょう?

カラス科鳥類は、南極を除きほぼ全世界に生息しており、世界に約100種類以上もいます。

日本で見られるカラス科ですと、約5種類程います。最もよく見られる2種類は、皆様よくご存知のハシブトガラスとハシボソガラスです。

カラスと言えば、よく見かけるこの2種の真っ黒な体色のイメージが強いのではないでしょうか?

しかし、一部真っ黒ではないカラス科鳥類もいます。例えば、九州を中心に全国で見られる「カササギ」の体色は、白と黒が混ざっています。オシャレなカラスもいるのですね。

食べ物は何を食べているのでしょうか? おそらく多くの方は「カラスはゴミを食い散らかす」というイメージがあるかと思います。

ほぼそのイメージ通り、動物性のものも植物性のものも、自然食でも加工食品でも、何でも食べる超雑食です。私達がゴミ袋にせっせとネットを被せるのも、カラスが都会で繁殖に成功しているのも納得ですね。

また、カラスは繁殖にあたり、パートナー関係は「一夫一妻制」をとっています。生涯同じパートナーと交尾をするため、毎年つがいを変えるオシドリよりもオシドリ夫婦なのです。

巣立ち後の若い成鳥は、しばらく両親にエサをねだり小さな家族による群れを形成します。「甘えん坊な子供」と「仲の良い両親」から成る群れだと思うと、微笑ましいものですね。

このように街中でもよく見かけるカラスですが、意外と死骸を見かけることは少ないのではないでしょうか? これは、カラスが「街中や低い場所ではなく、森林の高い木の上」への営巣を好むことが理由です。

カラスは、自分の身体が弱っていることを悟ると、その巣に籠もるようになります。

そのまま死んでしまうパターンが多いため、私達は死骸を見かけることが少ないのです。これは、多くの野生動物が、天敵に襲われないよう「他人に弱みは見せない」ポリシーを持っていることが分かる顕著な例です。

「家猫は、死期を悟ると飼い主の前から姿を消す」という話は有名かと思いますが、これもその本能に寄るものです。

そして、カラスはその巣をいつ頃作っているのでしょうか?

カラスは、秋頃になると集団で同じ「ねぐら」に帰るようになります。秋の夕日をバックに、カラスの群れが飛んでいたら、集団でねぐらに帰る所なのでしょう。

カラス達は、この群れの中で情報交換を行ったり、つがいを見つけたりします。やがて春頃になると、巣を作り始め、繁殖や子育てを始めます。

ところで、「ねぐら」と「巣」は別々に作られている別物であることに気づきましたでしょうか? 「ねぐら」は大勢で雑魚寝するための寝室のような場所であり、「巣」は夫婦で子育てをするための一軒家のような場所なのです。

次ページ知能が高いことが分かる、カラスが見せる行動

<

1

2

3

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

動物のニュースanimals plants news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!