ものを優しくつかむ「触手ロボ」
ものを優しくつかむ「触手ロボ」 / Credit:Kaitlyn Becker(Harvard University)_Tentacle robot can gently grasp fragile objects(2022)
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壊れやすく繊細なものに優しく絡みつく「触手ロボットハンド」を開発!

2022.10.28 Friday

触手」とは、イソギンチャクやクラゲ、タコなどがもつ、複数の長くて柔らかい突起物の名称です。

創作の世界では恐怖・嫌悪の対象として扱われ、架空の触手が人々を襲うことも多いようですが、本来はさまざまな機能を備えた有用な器官です。

そしてアメリカ・ハーバード大学(Harvard University)の工学・応用科学スクールに所属するケイトリン・ベッカー氏ら研究チームは、ものをつかむための「触手ロボ」を開発しました。

複数の触手が優しく絡めとるため、壊れやすく繊細な物体でもつかんで移動させることができます。

研究の詳細は、2022年9月12日付の科学誌『Proceedings of the National Academy of Sciences』に掲載されました。

Tentacle robot can gently grasp fragile objects https://www.seas.harvard.edu/news/2022/10/tentacle-robot-can-gently-grasp-fragile-objects
Active entanglement enables stochastic, topological grasping https://www.pnas.org/doi/abs/10.1073/pnas.2209819119

従来のロボットハンドは「優しくつかむ」のが苦手

触手を持つ生物
触手を持つ生物 / Credit:Canva

触手の奇妙な形状や絡めとるような動きから、触手自体に生理的な嫌悪感を抱く人は多いようです。

そのためSFでは、昔から触手が人々を襲う恐怖の対象として扱われてきました。

現在では触手に対する偏ったイメージが1つの創作ジャンルとして確立されているほどです。

創作では人を襲うイメージが定着
創作では人を襲うイメージが定着 / Credit:Canva

ところが自然界の触手を模倣することは、私たちの生活をもっと便利にしてくれるかもしれません。

ベッカー氏は、触手が「ものをつかむ」のに役立つと考えました。

現在のロボットハンドのほとんどは、繊細で不規則な形状の物体をつかむことが苦手です。

脆い物体を壊さずにつかんで持ち上げるためには、強すぎないグリップ力と工夫されたつかみ方が必要だからです。

傷付けないための「弱い力」でものをつかむのは難しい
傷付けないための「弱い力」でものをつかむのは難しい / Credit:Canva

クレーンゲームをしたことのある人なら、弱い力で物体を持ち上げることの難しさがよく理解できるでしょう。

これをゲームではなく実生活や仕事で利用するためには、確実性を高めなければいけません。

ロボットハンドに高度な機械学習アルゴリズムとたくさんのセンサーを搭載して、ロボットハンドや物体に加わる圧力を検知・フィードバックしていく必要があるのです。

しかしベッカー氏は、触手のようなロボットハンドを開発することで、従来の複雑さを排除できると考えました。

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