倒れた人を震源地とする人間の雪崩が起こる
1平方メートルあたり10人を超える密度のなかで1人が倒れると、上の図のように、群集のなかに局所的な空白地帯が発生し、次々に周りの人々が空白に倒れ込んでいく、「群集雪崩(ぐんしゅうなだれ)」と呼ばれる現象が発生することが知られています。
群集雪崩は群集が起こすトラブルのなかでも特に危険であり、過去に起きた多数の死者を出した群集災害の多くが、この群集雪崩によって引き起こされています。
何人かの専門家たちは、今回韓国で発生した群集災害も、群集雪崩であった可能性が高いと述べています。
では、同じような高密度の群集にとらわれてしまったら、どうすればいいのでしょうか?
専門家たちは、まずは最初の1人にならないことが重要だと述べています。
群集雪崩が起きた際、一番下に埋もれてしまうのは最初に倒れた人間であり、生存確率は著しく低下してしまうからです。
そのため専門家たちは、波が押し寄せてくるのを感じたら無理に抵抗しないことが重要だと述べています。
下手に押し戻そうとすれば、群集内部の圧力が高まって、すぐに自分に向けた圧力として跳ね返り、状況が悪化してしまいます。
また、もし呼吸が苦しくなったり意識を失いそうになったら「ボクサーのように腕を胸元に押し付ける方法が有効である」とのこと。
腕で胸部をガードすることで呼吸を楽にできる可能性があるからです。
そして圧力から逃れるために座り込むようなことは絶対にしないでください。
群集の中では胸周りの圧力が最も強くなっており、足元が魅力的な逃避先に思えます。
しかし自分が座り込んでしまうことで周辺の人が転んでしまった場合、自ら「群集雪崩の震源地」を作ってしまうことになりかねないからです。
群集雪崩、立ち続けた者だけが生き残ることができます。