リサの免疫システムは「特殊精鋭部隊」になっていた
なぜリサはがんが治りやすい体質なのか?
研究者たちの分析によれば、リサの体の細胞が異なる染色体数を持つことそのものが、免疫システムの強化につながっている、とのこと。
リサの体の中には通常の人間と同じ23対の染色体を持つ細胞と、それ以外の異常な染色体数を持つ細胞が混在しています。
これら異常な染色体数を持つ細胞が、がん化しやすい傾向にあるのは確かです。
しかし研究者たちは同時に、リサの体内にある正常な23対の染色体から構成される免疫システムの細胞が、同居する異常な染色体数を持つ細胞たちに対して、常に警戒モードにあることを発見しました。
稀な遺伝子変異のせいでリサの体内では絶えることなく新たな異常細胞が生成されています。
そのためリサの体にある正常な免疫細胞たちにとって、次々にうまれてくる異常な細胞たちは「警戒すべき容疑者」と認識されてており、一部の免疫細胞たちは常にいくつかの炎症性物質を吐き出してリサの体に慢性的な全身性炎症を引き起こしたり、変異細胞たちに対する免疫記憶を形成している可能性がありました。
長い闘病生活を経てリサの体は、がんを治りやすくさせる強力な免疫力を獲得していたのです。
リサの体に発生したがん腫瘍が外科手術や化学療法、放射線療法などの標準的ながん治療によって簡単に退治できたのも、リサの体の免疫能力が増強されていたからだと言えるでしょう。
以前の研究により、ヘビ毒を摂取し続けた男性には「あらゆるヘビ毒に対抗する免疫が身に付いていた」という報告がなされています。
リサの体はさまざまな変異細胞に対処し続けてきたことで、ヘビ毒のかわりにがん細胞に対して、同じような強力な免疫がうまれていたのかもしれません。
研究者たちは、リサのユニークな免疫システムを解明して他のがん患者でも再現することができれば、がんを今よりもずっと簡単に治療ができるようになると述べています。
もしかしたらリサの存在が、人類全体をがんから救ってくれるかもしれませんね。