従来のGPSの弱点は「都市部」での位置測定
GPSとは、手元の受信機と複数の人工衛星との距離を電波で測定し、正確な位置を特定するシステムです。
それぞれの人工衛星は、受信機との距離を測るために、発信する電波に時間情報を含めます。
これにより、「発信した時刻」と「受信した時刻」の差から、距離を割り出せるのです。
ちなみに電波は1秒間に約30万kmも進むので、わずか1μ秒(100万分の1秒)のずれが、300mもの誤差を生じさせてしまします。
そのためGPS衛星には原子時計(誤差が30万年に1秒以下)が搭載されており、また相対性理論が予測する時間の伸びも計算に含められていて、できるだけ正確な位置情報を提供できるようにしています。
それでも私たちが経験しているように、従来のGPSには限界があり、さまざまな誤差が生じています。
特に都市部では、GPSのずれが生じやすいと言われています。
これは、衛星からの電波が高層ビルなどの建物に反射して受信機に届くためです。
受信機は「直接届く電波」と、「建物に反射して届く電波」を複数受信するため、正確な距離が測れなくなってしまうのです。
仮に衛星の数を増やしたり、受信機の真上からまっすぐに電波を送ったりするならいくらか改善しますが、現実はそうもいきません。
また近年では「自動運転技術」の研究も進んでおり、混雑している都市部では特に高いGPS性能が求められます。
では、今後の新たな技術開発を促すためにも、GPS衛星の弱点をカバーすることはできるのでしょうか?
ティベリウス氏ら研究チームは、「従来のGPS」のずれを解消するため、衛星に頼らないGPSを開発することにしました。